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首の歪みで耳鳴りが

耳鳴りと首の歪み

耳鳴りでまず気を付けることは、原因が耳の中の炎症や疾患、脳の異常、高血圧などの病気によるものか、そうでないかを切り分ける事です。
重篤な病気が潜んでいる可能性があれば、まずは病院での検査を薦めます。
病院の検査で病気が見つからず、どこにも異常がなかった場合、ストレスや過労が原因だろうと診断される事が多いようです。
最近では加齢などによる聴力低下を補うために、音を聞き取る脳の感度が上がりすぎて、逆に脳内の信号をノイズとして感知し「キーン」といった高い音を作ってしまうとも言われているようです。
ちょっと疑問なのは、老化によって耳鳴りが起こるなら、歳をとるほど耳鳴り発生率は上がってしまうことになります。
90歳の人は全員耳鳴り持ちってことになるのでしょうか?
いずれほとんどの人が耳鳴りに悩まされる事になるって、ちょっと現実と一致しないような気がしますし、実際にそんな事にはなっていません。

耳鳴りにもいくつかの原因があります。
いくつかの原因が複合して、耳鳴りを起こす場合もあるでしょう。
沢山ある原因の中の一つに、首の歪み(頸椎の緊張)も含まれます。
耳鳴りの原因が緊張にあるのであれば、緊張をゆるめれば耳鳴りを消す、あるいは減少させることが出来ると言う事です。
解決への可能性が少し見えてきたと思います。

筋肉に不自然な緊張が起こり、それが緩まなくなると、緊張の周辺だけでなく、そこから離れた所へ痛みが放散する場合があります(放散痛、関連痛)。
どうやら頸椎周辺の緊張は、こういった首の痛みだけではなく、目まいや耳鳴りを引き起こす場合があるようです。
なぜ耳鳴りを起こすのか?
明確な原理は分かりません。
筋緊張の慢性化は、血液体液循環の停滞を招きますし、軟部組織の内圧も変化させます。
また、頸椎部分の動脈へ悪影響を与えると、血圧を不安定にもさせます。
これらの要因が複合して、めまいや耳鳴りを引き起こしているのかもしれません。

施術を行う前に、緊張を原因にしている耳鳴りなのか、そうでないのかをある程度切り分けなければいけません。
まず調べることは、

などです。
これらの事をじっくり聞いて対応できるかどうかを判断します。

ここで臨床例を一つ紹介。
数ヶ月前から耳鳴りがひどいと言うかたです。
耳鳴りがするのは右側だけ。
耳鼻科で耳の検査はしました。
脳外科で脳のMRIも撮りました。
どちらも異常は無かったそうです。
病院では原因不明といわれています。
夜寝る頃になると耳鳴りはひどくなり、そのせいで寝不足になってしまいました。
現在、安定剤を飲んで眠るようにしています。
耳鳴りが鳴るようになってから、元々高めだった血圧がさらに高くなり、血圧を下げる薬も飲むようになりました。
耳鳴りが始まった切っ掛けは、右首筋の強いコリです。
検査した病院で処方された薬(コリを緩める薬)で、今はコリをあまり感じなくなったようです。
しかし、その後も耳鳴りは止まず、少しずつ大きくなってきているそうです。

耳鳴りの切っ掛けが、首筋の強いコリと言うのが重要なヒントです。
おそらく耳鳴りの発動原因になっている緊張が、頸椎にどこかに潜んでいそうです。
それを調べるために、正座で首周辺を触診すると、頚椎7番で大きく傾いています(図)。
そのまま背骨に沿って触診していくと頸椎の歪みと耳鳴り、腰椎(仙骨と腰椎の間)にも頸椎と同様の大きな傾きがあります。
施術の評価基準にするために、首の動作テストを行います。
首は右方向へねじり難いのと、左へ倒し難い(右首筋に突っ張り感)傾向があります。
動作テスト中も、耳鳴りの音は「ジンジン」と鳴っています。
一番歪みが大きいのは、頸椎7番です。
頸椎7番の右方向へ出ようとする緊張をゆるめることにします。
仰向けで頸椎7番を両手で支え、バランスが傾いている所を探します。
バランスが傾いている点で支え直し、しばらく緩むのを待ちます。
しばらく待つと、次第に緊張はゆるみ、それと共にその場で耳鳴りは鳴らなくなりました。
首の動作も痛みなくできます。
耳鳴りの場合は、施術後即座に音が消えることは少なく、大体は日を追うごとに音が小さくなっていくのが普通です。
このかたは、特に顕著に効果が現れた例です。

この方は頸椎7番を緩める事で、耳鳴りの変化が顕著に現れましたが、頚椎7番と耳が直接つながっていると言う事ではありません。
6番や5番に緊張が出て耳鳴りが起こる場合もあります。
また、頸椎の緊張が必ず耳鳴りに繋がるわけでもありません。
頭痛や首の痛み、自律神経への悪影響を起こす場合も多くあります。
自律神経への影響があると、さらに症状は多岐にわたるので、ますます悪いところを探すのが難しくなります(自律神経失調症の特徴的な体の緊張 参照)。

2018年7月加筆修正(2021.09更新)

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