広島市安佐南区長束 整体の安穏亭

TOP整体よもやま話

すばらしい身体の自動調節能力

ホメオスタシス(生体恒常性)変化と安定

自律神経の役割

人は、気温や湿度などの外部環境の変化や、体位、運動、食物などの影響を常に受けつつも、身体の働きが秩序をもって安定して働くよう自動的に調整されています。
これを恒常性(こうじょうせい)あるいはホメオスタシスと言います。
体温をイメージすると分かりやすいでしょうか。
36.5度ぐらい、ある程度幅は持ちますが、極端に上がり過ぎる事もなく、極端に下がり過ぎる事もなく自動調整されています。
ホメオスタシスと言うのは、「固定して動かない状態」を意味するのではなく、「変化しつつも安定した状態」を意味します。
体温以外にも、血圧、血糖値、免疫、代謝、呼吸、内蔵機能など、生命活動を保つのに不可欠な要素ばかりです。
ホメオスタシスの異常、これを病気と言う事が出来ます。
つまり、自然治癒力はホメオスタシスの表れと言えます。
ホメオスタシスの維持に大きく関わっているのが、自律神経系内分泌系免疫系です。

自律機能が身体を保つ

人の体は、自分で意識しなくても、一定の状態に自動的に調整されています。
これが自律機能です。
自律機能とは・・・生体の発達や成熟、内部環境などを不随意的に調整する事

この調整には主に2つの命令系が使われています。
それが、自律神経系 内分泌系(ホルモン系)です。
二つの系はそれぞれ担当が違い、自律神経系は腸管運動、血圧調整、心拍数など速い命令をつかさどり、ホルモン系は成長や性的成熟などの遅い命令をつかさどっています。
自律神経系の経路は神経繊維なので、命令が伝わる速度は速く、逆にホルモン系の経路は血管なので、命令が伝わるには少し時間がかかります

自律神経系と心の話

自律神経とは、交感神経と副交感神経のことで、自分の意思ではコントロールできない神経のこことです。
呼吸・内臓・血液・代謝・体温の維持などの生命維持に必要な機能を自動的(自律的)に調整しています。
一般に、興奮しているときは交感神経が、リラックスしているときは副交感神経が各々優位になっています。

自律神経が乱れ、身体に不調が起きている症状を、自律神経失調症と言います。
自律神経は意識でコントロール出来る神経ではないため、乱れると自分ではどうしていいかわからなくなりますよね。
関連ページ 自律神経失調症の特徴的な体の緊張

人の身体を全体的に見てみましょう。
意のままにコントロールできないのは、自律神経に限ったことではありません。
実は、運動神経だってその全てを意識してコントロール出来ているわけではないのです。
体の機能の大半は自動的に動いています。
自分の意識でコントロール出来るのは、ほんの一部だけなんですね。

自律神経失調・自分と体は家来と王様人がロボットを操縦するのをイメージして下さい。
精密な体と、それを操縦している人間(自分)と考えて。
ロボットの動きを全て事細かく操作するわけにはいきませんよね。
主導権はもちろん自分にあるのですが、操縦方法は体に対して大雑把な指示を出す事。
大雑把な指示でも、今までの経験や生まれた時から持っているプログラムで、体はうまく動いてくれます。

では、命令ばかり出して身体を酷使したらどうなるのでしょう?
操縦者である自分は、体から発せられる危険信号にも正しく対処し、それを解決するための命令も出さなければいけません。
例えば、
・疲れたら→休め。
・眠くなったら→眠れ。
・お腹がすいたら→食べろ。
ところが、この危険信号を無視するとどうなるでしょう。
現代生活で多く見られますよね。
・休みたいけど休めない。
・眠くても眠れない。
・満腹なのにまだ食べる。
・空腹なのに食べない。
・逃げ出したいのに逃げ出せない。
このように、ストレスが強すぎて危険信号が出ているのに、うまく解消できないでいると、ついには体からの危険信号に気付かなくなってしまいます。
・疲れを感じない。
・眠気を感じない。
・満腹感や空腹感を感じない。
・何がつらいのかわからない。
などの交感神経が振り切った状態です。
これはいわゆる戦闘モード
戦闘モードになると、さらに無理が出来てしまいます。
これが厄介なところ。
少しずつ体も心も疲弊し、ついには自律神経の働きが狂ってしまい、解決方法もわからないまま悪循環へハマっていく。

体と心は一心同体で、常に良い関係を保っておくことが大事です。
自分の体の声に耳を傾け、自分の体とよく対話し、今の状態を正しく把握すること。
時には無理してがんばることも社会では必要だと思いますが、その分、後でしっかり休みとって、バランスを取り戻す事。
いくらでも頑張れる。
それを強い事だと考える人が多いようです。
でももしかすると感度がバカになっているだけかも知れません。
もしそうなら、自分を消しゴムのように削って削って細くしている。
いつか「ポキッ」と折れちゃう事が無いように。

内分泌系の命令系統

成長や性的成熟などの遅い命令を司る内分泌系(ホルモン系)。
この、ホルモンを作る内分泌臓器は、

などがあります。
これらほとんどの内分泌臓器は下垂体(脳)から放出されるホルモンに統制されており、さらに下垂体は、隣接する視床下部(脳)の統制を受けています。
下の図はどういったホルモンがどこから分泌されているかを簡単にまとめたものです。

ホルモン分泌図

甲状腺ホルモン/副腎皮質ホルモン/性ホルモンは命令系統が3層構造になっています。

たとえば甲状腺ホルモンを放出したい場合、

視床下部から甲状腺ホルモン刺激ホルモン放出ホルモンが分泌
      ↓
下垂体が視床下部からのホルモンを受け、甲状腺ホルモン刺激ホルモンを分泌
      ↓
内分泌臓器(甲状腺)は下垂体からのホルモンを受け、甲状腺ホルモンを分泌
 
といった命令構造です。

視床下部(部長)から仕事の命令が下垂体(課長)に来て、下垂体(課長)が内分泌臓器(ひら社員)に命令し、内分泌臓器(ひら社員)が仕事をする、このパターンです。
また、全てのホルモンがこの命令パターンで分泌されているわけではなく、下垂体があまり関与しないホルモンもあります。

自律神経と免疫(リンパ球・顆粒球)の関係

自律神経と免疫の関係をあらわす理論に「福田-安保理論」(ふくだ-あぼりろん)と言うのがあります。
簡単にまとめたものを紹介したいと思います。

福田-安保理論を簡単に言うと

①交感神経が緊張すると顆粒球が増える。

副交感神経が緊張するとリンパ球が増える。

というものです。
ここで顆粒球リンパ球について簡単に説明すると、

顆粒球やリンパ球は血液の中の白血球と呼ばれる免疫をつかさどっているグループの中に含まれるものです。
顆粒球は細菌などのサイズの大きな異物を食べ
てくれます。
リンパ球はウィルスやガン細胞などのサイズの小さな異物を処理
してくれます。
顆粒球とリンパ球の割合は季節や時間帯などによって変動はあるもののある程度の枠内に収まっているのが正常な状態なのです。

もし過剰なストレスによって自律神経が乱れると、交感神経と副交感神経のアンバランスが起きます。
交感神経が異常緊張すると、顆粒球も異常に増加するそうです。
顆粒球は2~3日の寿命を終えて死ぬと活性酸素を出すのですが、顆粒球が異常増加していると、この活性酸素も大量に体内に出来ることになります。
活性酸素が大量過ぎると、私たち自身の組織をも破壊してしまいます。
また、交感神経過緊張によって血流障害、排泄、分泌機能の低下なども起きます。
結果 ガン、胃潰瘍、糖尿病、動脈硬化、肩こり、腰痛、冷え、高血圧、不眠、便秘、イライラなどの症状へ繋がっていきます。

逆に副交感神経が異常緊張した場合は、リンパ球が異常増加するそうです。
リンパ球が増えすぎると、わずかな異物に対しても過敏反応してしまいます。
これはアレルギー反応です。
副交感神経が過剰に働くと血管が拡張するので、これも許容範囲を超えると、動脈からの血液量を静脈で戻しきれなくなります。
すると静脈に血がたまった状態(うっ血)を招き、老廃物の排泄がうまく出来なくなり、外部からの侵入物(例えば花粉やダニなど)が体内にたまりやすくなります。
アレルギー反応に拍車がかかります。
花粉症、小児喘息、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシーショックなどのアレルギー症状へ繋がっていきます。

簡単にですが、このような理論です。
この理論通りのメカニズムが体内で起きるのなら、逆に考えて自律神経をうまくコントロール出来さえすれば、ほとんどの現代病が治ってしまうことになります。
自律神経のコントロール。これが出来れば相当すごいことになりますね。

(2022年4月掲載)

トップへ