緊張したまま固まっている筋肉は、コリや痛みだけではなく様々な症状を起こす原因になります。
それを緩めようと筋肉を普通に押したり引っ張ったりしても、緊張に阻まれて逆に筋肉を傷めてしまいます。
そこで安全にゆるめる為に、筋肉の緊張に阻まれないで緊張を無効にする技術(集心法)を使います。
ここでは、集心法で必要な動きとその感覚を身につけるために考えた一番簡単な「型」を説明します。
この動きが正確にできれば、感覚が身に付くとので他の動きでも感覚を頼りに応用が効くと思います。
では図1ですが、床の上で(a)点を決めて、そこに対して働きかける場合の図を描いています。
(a)点に真上に力を働かせます。
その力は(b)点でつながった(X)棒と(Y)棒がクリップの口が広がるように上下に開く動きで作ります。
注意するところは(a)には重さをかけない事。
でも、このままだと(X)棒と(Y)棒の重さがかかってしまうので、それを支えるために(Z)棒で(b)点を支えます。
(X)(Y)(Z)の三本の棒が(b)点で結ばれた形が基本になります。
(a)点に重さ0で力だけをかけて止まっている状態から、力を一定に保ったまま(b)点が図の左側へ移動していくように(X)(Y)(Z)三本の棒を変化させていきます。(図に破線で表記)
その時(a)点には緑矢印の方向への回転が発生します。
実際の人の体を図に重ねたものが図2です。
これは床の上に正座をして片手を肩の高さぐらいに持ち上げ、手のひらの位置を(a)点とした場合の動きです。
(d)点はちょうど重心の位置あらわしていて、最初はお尻の位置にあったのがだんだんとスネに向けて移動していくのが分かると思います。
実際にやってみるとわかるのですが、この動きをやってもらっても、ほとんど全ての人が(a)点に自分の重さ(黒矢印)を少しかけてしまいます。
ほんの少しでも重さがかかっていると、ここで言っている動き、(b)点を左へ移動させる動き出来なくなります。
逆に重さを0にした瞬間、勝手に(a)点が回転しだすような感じで自分の体が(a)の下へ引き寄せられるように感じます。
この「型」で動きを何度も練習して、その時の感覚を覚えます。
すると他の方向への動きや別の体勢での動きでも、いちいち図を考えることなく、覚えた感覚が出るように動けばいいようになります。
この「型」での練習は、集心法の講座で最初にやってもらっています。
理屈は説明すればみんなわかるようですが、実際に体でそれを行う事の難しさを皆さん言います。
それくらい「力を出そうとするときに重さもかけてしまう」と言うのは日常当たり前のことになっています。
「この重さをかける」と言うのは傾いてしまっている(倒れそうになっている)と言うことです。
この当たり前にやっていることを自分で認識できるようになることが、それをやらない事も可能にします。
パントマイムが上手い人はこの動きを理解しやすいと思います。
参考コラム筋肉の伸び縮みと緊張がゆるむ原理
2018/12/22作成(2022.05更正)