広島市安佐南区長束 整体の安穏亭

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肩の痛みの原因が頚椎にあった

肩の痛みいろいろ

肩に痛みが出る症状ですぐに思いつくのは五十肩でしょうか。
肩関節周囲炎と言って、肩関節に炎症が起きてますよって症状名です。
痛みで腕を上げたり後ろに回したり出来なくなります。
数か月で自然に治る人もいれば、数年かかる人、可動域減少などの後遺症が残る人と様々です。
肩を動かすと痛む「動作痛」や、夜寝ているときに痛む「夜間痛」等の症状があります。
整形外科での画像検査ではレントゲン撮影を行いますが、異常が見られないのが特徴です。
肩に痛みがあるので肩に原因があると考えるのが普通だと思います。
確かに私が施術してきた肩の痛みの人たちも、肩に原因があった人は多くいます。
肩の筋肉であるローテータカフ(棘上筋や棘下筋、肩甲下筋、小円筋)や三角筋、上腕二頭筋などなど。
しかし今回紹介する症例のように、おおもとの原因が肩ではなく首にあるパターンも意外と多くあります。

肩関節ローテータカフ

転んで痛めた肩が治らない人

一年前からずっと左肩の痛みが続いている人です.
切っ掛けは、転んだ時に勢いよく地面に手をついて肩を痛めた事です。
痛む場所は、肩関節の前面(結節間溝)。
痛みの経過を聞くと、最初の二ヶ月間は就寝中に「ジクジク痛む感じ(夜間痛)」があったそうですが、現在は夜間痛は出なくなっています。
肩の痛む場所を押すと強い痛みがあります。
自分でその場所を伸ばしたり揉んだりしていたそうですが、かえって痛みが強くなったそうです。

上腕二頭筋腱の損傷

肩の痛む部分(結節間溝)は、上腕二頭筋の腱が通っている場所。
そこは誰でも強く押せば痛みが出ます。
押して痛みがあるからと言って、悪いと判断するべきではありません。
強く揉みすぎて上腕二頭筋の腱に炎症を起こしてしまうと、肩に強い痛みが出るようになります。
余計な痛みを増やしてしまいますので。

肩の動作テストをします。
肩を自分で色々動かしてもらいましたが、肩の動きに大きな制限はないように見えます。
肩周りの筋肉を調べましたが、異常な緊張・凝りは見つかりません。
更に細かいテストを行うと、ある特定の位置から肩を動かす動きだけ痛みがでました。
その動きだけは、激痛が走り出来ません。
それは、脇を閉めた状態からの動きです。
脇をしっかり締めた状態を保って、腕を上に上げる、あるいは肩関節を外旋させる動作(脇を締めて肘を直角に曲げて前腕を外へ広げる動作)で激痛が走ります。
肩周辺の筋には問題になるような緊張は何も無く、上記の検査結果から推測すると、どうやら上腕二頭筋腱の損傷が原因のようです。
しかしそれが一年も治らないのは、ちょっと時間が掛かり過ぎです。
二頭筋腱の治癒を妨げる原因が他にありそうです。

頸椎の歪みから肩へ放散痛

そこで視野を広げて、首の検査する事にしました。
首の動作テスト(首を前後左右に動かす)をすると、首の左回旋にいくらか制限があります。
可動域の減少と、関節のなめらかさが低下しています。
さらに大きく左方向へねじると、痛む左肩前面に向けて、首から鈍い嫌な痛みが広がるそうです。
首の動きで痛みが誘発される事は、本人も気が付いていませんでした。
ここまで首を大きくねじる事は、普段あまりないのでしょう。
頸椎に問題がある事がはっきりしました.
仰向けで頸椎を触診すると、頚椎7番が左側がに少し出っ張っています。
緊張による歪みです。
そのまま頸椎7番を両手の平で支えて、緊張で傾いている所を支え直します。
緩むまでしばらく待ちましたが、だんだんと首の緊張が緩んで来ました。
もう首を左に捻じっても、痛みは肩に出なくなりました。

首の動きで誘発される肩への放散痛は無くなりましたが、まだ肩の動きが完全ではありません。
腕を上げると、肩に少し痛みが出ます。
しかし施術前のような激痛ではありません。
頸椎7番の緊張を緩める施術を数回続け、おおよそ3週間で一年続いた肩の痛みは解消されました。

緊張で歪んだ頸椎7番が肩の動きを阻害し、上腕二頭筋腱に負荷をかけ続けていたのでしょう。
それで腱の回復が間に合わず、痛みが一年も続いたのだと思います。
腱にはいくらか癒着もありました。
もし癒着がひどければ、ここまでスッキリとは治らなかったかも知れません。

肩の協調運動について

肩を動かす際は肩関節だけが動くのではなく、肩甲骨や肋骨、胸椎、頚椎が協調して動きます。
どの場所に緊張が起こっても、協調した動きに制限が掛かります。
そして結果的に肩が故障します。

脇を締めた状態で腕を動かすには、頚椎7番周辺が柔軟に動く必要があります。
一カ所の頸椎の緊張でも、協調した動きを邪魔する場合は肩関節に過剰な負担がかかります。
そんな状態で肩を使っていると、肩周辺にも次第に緊張が発生し、慢性疲労や損傷を起こす筋肉が増え始めます。

又よくある事ですが、痛む場所が悪いと思い込んでそこを強く押したり揉んだりして、壊れている組織を更に壊す人です。
自分で慢性化させてしまう人。
やりがちなので、気を付けなければいけません。

肩の痛み(夜間痛)がひどくて眠れない人

夜間痛肩に夜間痛がひどく出る為、夜眠れなくなってきている人の症例です。
夜間痛が出始めたのは、一ヶ月前から。
寝る時にズキズキうずいて痛く、睡眠不足になっているそうです。
日中は痛みは軽く、そこまで不自由はないそうなのですが、肩や腕に強張りを感じるようです。
急に腕を動かすと、ジーンと疼く事があります。

この人は普段から肩凝りしやすいそうです。
凝りの中に緊張が緩まなくなっている場所があるのかも知れません。
肩周辺を検査してみましたが、一般レベルのコリは有るものの、肩を動かせない程の痛みが出るような緊張は出ていないようです。
年配の方なのでそれなりに可動域は狭くなっていますが、正常範囲内と言ってよいレベルだと思います。

しかし、夜眠りが浅くなるのは良くないですね。
寝不足は回復力が出ないだけでなく、身体全体の機能低下も招きますから、早く解決しないと他の症状も出始めるかも知れません。

首を緩めると肩が緩んだ

まずは肩関節周辺から調べて行きました。
肩関節部分が、少し前に出っ張っています。
仰向けで肩関節を両手で包み、緊張のバランスを見ると、案の定傾いています。
傾きに合わせて肩関節を支え直し、緩むまでしばらく待とうとしたのですが、施術している間に肩に疼きが出ます。
どうも、これは別の場所にもっと強い緊張があって、肩関節がその影響を受けて疼いているようです。
そこで、首の頸椎を検査してみました。
頸椎7番(首の付け根)と、その下の胸椎一番と二番に、痛む肩の方へ向かって飛び出す方向の緊張力が働いています。
仰向けで首の下に両手を差し入れ、目的の背骨を支えるように包みます。
やはりバランスに傾きが出ているので、傾いた位置で支え直して、しばらく緩むのを待ちます。
この施術中は先ほどのような肩への疼きは出ませんでした。
一通り緩むと、肩関節にあらわれていた緊張も無くなり、関節が中に納まりました。
この施術以降、肩の夜間痛はなくなり睡眠不足も解消したそうです。

(2018年7月加筆修正) 2022.04更新

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