車の事故では、想像以上に大きな衝撃が体に加わる事も多くあります。
衝撃を受ける場所は、事故時の姿勢によって様々です。
今回の話は、12年前に車の事故でむち打ちになってから、首から背中にかけて痛みが出るかたの話です。
このかたは、12年前に交通事故に遭い、そのとき首がむち打ちになりました。
さらに腰も痛めました。
それ以来、腰には時々腰痛が出ます。
首の後ろや右の背中には、慢性的に痛みがあります。
整形外科、カイロプラクティック、接骨院、鍼灸など、いくつも治療院に通いました。
ですが、症状はあまり変わらず、脳外科へも行きました。
脳外科では、MRI画像を撮影し、診断はストレートネック。
それと、頚椎に少し石灰化が見られと言われたそうです。
それ以外の異常は特に無いと診断されました。
今まで行った鍼灸やカイロプラクティックなどの治療院では、原因は首だと言われることが多かったそうです。
私もまずは首を疑い、頸椎周辺を検査してみましたが、特に問題は無いように感じます。
触診では異常は無いように思うのですが、首の動作テストをすると、首を前に倒す動きで背中(胸椎)がへこんだまま全然動いていない部分があります。
胸椎に動いていない部分が有ることは、今まで一度も言われたことが無かったそうです。
この段階では、胸椎が原因かどうかは確定できませんが、この部分以外に問題が見つからないので、胸椎の動きを取り戻す事を第一目標にして施術することにします。
首の動作では、当然頸椎の動きが重要なのですが、それと同じくらい上部胸椎の動きも重要です。
頸椎は7個、胸椎は12個あるのですが、胸椎の上から3個目ぐらいまでは頸椎の続きで首の延長だと考えます。
背中(胸椎)の動きに制限が出ると、かなりの確率で首の動きにも制限が出ます。
胸椎3番あたりは、仰向けでは手が届きにくいので、うつ伏せと仰向けの姿勢っで施術を行います。
緊張している胸椎を手のひらで包んで、バランスが傾いているところを探します。
もっとも傾いているポイントが見つかったので、そこで支えなおして緩むのを待ちます。
しばらくすると、ゆっくりと緩んできたので、2番、1番の胸椎も同様に施術をします。
かなり年数が経っている事もあって、しっかりと緩むには時間がかかりそうです。
3度目の施術が終わる頃に、やっと上部胸椎全体に動きが出始めました。
すると、今までは見えなかった右の首筋から背中へ向けての緊張が浮き上がってきました。
ロープ状に「ピーン」と張った抵抗(緊張の筋)です。
どうやら頸椎から胸椎4番へ繋がっているようです。
そこで、胸椎4番からと頸椎からの両方にアプローチし、この緊張を緩めていきます。
長いロープ状の緊張の抵抗がたるまず且つ張らない状態でバランスを取り、抵抗(緊張)感が消える位置へ首の角度を動かしながら、バランスを取って行きます。
次第にロープ状の緊張がゆるみ始め、十分緩むと、今回の症状の首の痛みは殆ど無くなりました。
肩こりも気にならないぐらいになったそうです。
その後も、極度の疲労が溜まって来ると、痛みが出そうかなあ?と思うときはあるようです。
そんな時は、セルフケアとして指導した「背骨の運動」をすると、痛みが出る前に自分で治せるようになったそうです。
改めて12年前の車の事故の様子を聞いてみると、事故の時、顔を左へ振り返った姿勢で衝撃を受けたそうです。
頸椎、胸椎をねじった状態での衝撃だったようです。
まっすぐ受ける衝撃よりも胸椎にかかる負荷は大きかったのかも知れません。
衝撃で胸椎4番周辺の緊張が発生し、それが緩まなくなった。
そのせいで、背中が常に固まった状態となり、症状を作り出していたのかも知れません。
2018年7月加筆修正(2021.09更新)