強いストレスを感じると、体に様々な変化が現れます。
肩凝りが現れたり、歯を強く食いしばったり、息苦しさを感じたり、汗がタラタラ流れたり。
無意識に現れてしまう反応なので、自分でコントロールするのは難しい。
今回の話は、ストレスを感じると、胸の中に引きつるような痛み出るかたの話です。
40代男性。
4年前ごろから、何か強いストレスを感じると、右胸に引きつるような痛みが出るそうです。
痛みは発作のように突然発生し、しばらく治まらず、痛みが引くまでじっと動かず、待たなければならないそうです。
この発作さえ出なければ、普段の生活には何の症状も無いそうです。
ちょっと不思議な感じですね。
まず、痛む場所や痛くなった経緯、思いつく原因などを聞きます。
痛みは、右胸の中。
体の表面と言う感じではないそうです。
ストレスの元は、仕事が多いようです。
深く考えたり、パソコン作業に集中している時などに、発作的に痛みが広がって来るそうです。
痛みは、長い時は1時間ぐらい続き、しばらく横になってじっとしていると、次第に治まるそうです。
強いストレスを受けると、体に様々な不快症状が現れるのは、ごく普通の反応です。
頭痛や、胸の締め付け、腹痛、冷や汗、発熱、体温低下、ふるえ、嘔吐感など。
いわゆる自律神経系の反応が出ますが、誰しも経験はあると思います。
このかたには、毎回同じ右胸の中の引きつりとなって、症状が現れています。
と言うことは、負荷がかかってストレス耐性が低下している所が何処かにあり、ストレス時に敏感に症状が出やすくなっているのかも知れません。
そこで、まず体の歪み(緊張が歪みとして表現される)をチェックする事にしました。
うつ伏せで、背骨の脇を指でなぞっていくと、胸椎が軽く右へ凸のカーブを描いています。
胸椎3番と6番の右横には、圧痛(押すと痛み)もあります。
腰椎は、左へ凸のカーブを描いています。
S字の逆型です。
今度は仰向けで首を見てみると、頚椎の5番、6番の右横に圧痛があり、首がその方向にスムーズに曲がりません。
頸椎が、右凸のカーブを描いており、右へ曲げようとしても首が湾曲せず、一部直線的になって抵抗しています。
次に、正座でさっきの胸椎3番と6番を見ます。
左右へ体を倒してもらうと、左へ倒したときは、背骨全体のカーブは滑らかです。
しかし、右へ倒したときは、胸椎3番~6番の間が直線的になっています。
頚椎5番、6番と、胸椎3番、6番に、緊張のロックがありそうです。
施術は、右側臥位で、胸椎3番の棘突起に軽く指を置きます。
抵抗のある方向を探して、棘突起を各方向に動かし、最も抵抗の大きい方向がどの方向かを探します。
それがわかったら、一番抵抗の大きい方向で指を固定し、それ以上抵抗が増さない方向へ向きを変えていきます。
他の胸椎や頸椎も同様に行います。
うまくいくと、押さえている部分の感触がだんだんと変わり、なんとなく弾力性が出て来たら終了です。
常に現れている症状ではないので、その場で確認が出来ません。
その後一ヶ月ほど様子を見てもらいましたが、再発なく調子は良いようです。
施術で緩めた箇所は、症状との因果関係があったようです。
ストレスが原因で、体の特定の部位に過剰な力が働き、大きなストレスがかかった時に耐えきれなくなり、引きつりや痛みを出していたのでしょう。
再発させないためにも、ストレスをためない事と、発散する方法を考えないといけません。
2015年7月掲載(2021.09更正)