整体よもやま話

良かれと思った運動も疲労とコリへ

ランニング

健康増進のためにウォーキングやランニングなどの運動を習慣にすることはとても良いことだと思います。
でも習慣にしていることが逆に体を疲労させて、体調を乱してしまうこともあります。
良かれと思って習慣にしているので、意外と気が付かないのでしょうね。
今回の話は、健康のためにランニングを習慣にされているかたの、肩と首のコリと足に溜まりやすい疲労の話です。

このかたは、1年前に転職し、そのあとから、肩や首のコリがひどくなりました。
慢性肩こり・首コリになってしまったそうです。
環境(仕事など)が変わると、体調に大きな変化が出てしまう事は良くあります。
大体は一時的なもので、次第に環境に慣れてくれば、症状も消えてくるのですが、このかたは慢性化してしまったようです。
それと、脚全体のダルさ、足裏の凝り、むくみも気になるそうです。
脚の症状は、転職するよりも前からです。
下半身が疲れてくると、次第に全身疲労となって、とても体が疲れやすいとおっしゃいます。
疲れやすいのは体力が無いせいだと思って、週3回1時間のランニングを習慣にして来たそうです。
なかなかハードなトレーニングですねえ。
これらの症状を治したくて、以前鍼治療を5か月続けたそうですが、治らなかったので当院にご来院されました。

さて、この症状をどう考えるべきなのか。
全身症状のような感じなので、そこから見て行くか悩みます。
下半身(足首や膝など)に問題があると、全身のバランスに乱れが生じやすい。
バランスの乱れは、首や肩など上半身へも負荷をかけ、肩こり頭痛など別の場所へも症状を広げてしまうこともあります。
おおもとの足を治せば全身治る場合もありますが、既に長年慢性化が続いていると、それぞれ個別に治していく必要もあります。

色々考えて、先ずは、肩や首の慢性的コリを見ていくことにしました。
肩周辺の状態を見ると、僧帽筋がとても薄くなっていて、首の付け根にある肋骨(第1、第2肋骨)が簡単に触れるほどになっています。
筋肉が疲労で凝って分厚くなっている場合に比べ、逆に疲労で薄くなっている場合は、長期間連続した疲労がかかり続け、極度の筋肉疲労状態が進んでいると考えられます。
仕事でうつむく作業が多いそうなので、原因の一つにはなっているのでしょう。
上半身はやや左へ傾いており、傾きの元は腰の歪みにあるようでした。
そこで腰周辺を調べると、右の腰に緊張が出ており、緩まなくなっているポイントがありました。
骨盤の際の部分だったので、骨盤の動きを使って緩めました。
骨盤を使って腰をゆっくり傾かせ、緊張と釣り合ったところで緩む方向へ向きを変え正確に動かして行きます。
腰がある程度緩んだので、次は疲労で弱ってしまっている肩の筋肉を見ることにしました。
肩首周辺の緊張は、伸びて弱った僧帽筋の中と肩甲骨から首に繋がっている肩甲挙筋にいくつか見つかりました。
これらを頸椎と肩甲骨の動きを使って、腰と同様の方法で緩めました。
最期にもう一つ。
足首。
話を細かく聞いていくと、足首を今まで何度も痛めているそうで、捻挫の繰り返しです。
それも両足共に。
両足首を見てみると、足首を内側へ曲げると、コリコリ変な音がします。
どうやら関節がゆるくなっているようです。
何度も捻挫をしてきたのも、足首の靭帯が伸びてしまって、関節が緩くなっていたからでしょう。
伸びて緩くなった靭帯を締めなおすことは出来ませんが、内くるぶし側に筋緊張が出ていたので、これを緩めることにしました。
外くるぶし側へ力が抜け出ていく方向に緩くなっています。
これと反対方向に関節を動かしながら、内くるぶし側の筋緊張とつりあう位置まで動かします。
そこから内くるぶしの緊張が緩む方向を探り合わせて行くと、次第に緊張が緩みながら足首の関節が中心へ戻って来ました。
これでコリコリ音は鳴らなくなり、関節にも粘りが出てきました。
靭帯は緩いままですが、筋肉がその代わりに働くようになったので関節に粘りが出てきたようです。

さてもう一つ気になるのは、体力向上のために続けているマラソンです。
話を聞くと、睡眠時間帯は24時~7時ごろまで。週2~3回の頻度で1時間ほどランニングをしていますが、走る時間が夜の9時ごろだそうです。
1時間ランニングするにはちょっと遅い時間帯です。
時々目がさえてしまって午前1時や2時まで眠れないことがあるそうです。
ランニングで優位になった交感神経が、その後しばらく納まらなくなっているようですね。
これでは良い睡眠の妨げになってしまいます。
体が疲れやすいのは生活習慣も大きく関係します。
この方の生活習慣での問題は、ランニングの時間帯でした。
疲労の要因はいくつも考えられますが、簡単に考えれば、

  1. エネルギーが足りない(ダイエットや食事制限)
  2. エネルギーが貯めれない(筋、肝臓に問題がある)
  3. エネルギーを巡らす経路の不具合(血管系など)
  4. 疲労回復時間の不足(睡眠、休養不足)

1~3は問診から問題ないようでしたが、4番目の疲労回復時間の不足が慢性的に起きていたのでしょう。
そこでアドバイスしたのは睡眠時間帯の変更です。
少し早めに寝るようにして、朝は少し早く起きてランニ ングをするように薦めました。
とても積極的に生活改善を行ってくれました。
以上、一連の施術を終え、アドバイスを実行してもらった事で、肩と首の凝りと脚の疲労やむくみ、そして疲れやすい体調すべて解決しました。
何事もやりようによっては毒にもなり薬にもなる。
そんな話でした。

(2015年掲載)2021.09更正