広島市安佐南区長束 整体の安穏亭

整体よもやま話

私の腰痛履歴

今では、手技療法を生業とする私ですが、昔は腰痛と股関節痛に、ずいぶん長く苦しめられていました。
それを治す事が、この世界に入った理由の一つでもあります。
完全に治るまで、20年続いた痛みでした。
今では、自分で完治させる事が出来ました。
それまでの経緯をまとめてみますので、私と同じように長く苦しんでいる方の参考にでもなればと思います。

目次

始まりは股関節のケガ

空手

17歳。空手を習い始めて間もないころのことです。
稽古で右回し蹴りをしたときに、左の股関節に激痛が走りました。
ひどい状態ではなかったので病院へは行かず、放っておきました。
痛みは一ヶ月ほどで気にならない程度にはなりましたが、それからは開脚ストレッチの時に股関節に痛みを感じるようになり、時々急に痛みが再発するようになりました。

股関節を痛めて一年が過ぎたころ、さらに右ひざの外側(腓骨頭)にも痛みが出るようになりました。
痛むところをマッサージしても治りません。
痛みが出ても、動けないと言うほどではないので、自然に痛みが治まるまで放っておきました。
今思えば、その頃から左の腰を縮める動作(左の上段回し蹴り)がしにくくなり、開脚ストレッチも、左足方向への前屈はつま先がすごく遠くにあるような固さを感じるようになりました。

当時、ストレッチは日課にしていましたが、固さは変わりませんでした。この頃、腰痛はなかったのですが、じっと立っているとすごく腰がだるくなるのは感じており、鉄棒にぶら下がってよく腰を伸ばしていました。これをやると痛いけれど気持ち良くって、少し楽になりました。そう言えばこの頃です。母親に「あんた、腰が悪いんじゃないの?」と言われたのは。

スノーボードで腰にヘルニア

就職し、車の運転、重い機器の運搬、長時間立ったままでの作業やパソコン作業の仕事でしたが、特に目立った腰痛は出ていませんでした。
しかし、相変わらず長時間じっと立っているのは苦手で、長く続けると、やはり腰がだるくなる事は多かったように思います。
この頃も、左股関節の痛みと、右膝外側の痛みには時折悩まされていましたが、「まあこんなもんかな?」とそれほど気にはしていませんでした。
何度か、腰痛持ちの友人に紹介してもらった接骨院で、股関節を治療してもらいました。電気治療や指圧、矯正のような事をしてもらいましたが、治るということはありませんでした。
この頃も、トレーニングは毎日ほぼ欠かさず行っていたのですが、左脚方向への開脚前屈は伸びが悪いままでした。
左腰がうまく縮まないような、何かつっかえ棒が腰に入っているような、違和感がずっとありました。

スノーボード

そして、25歳の頃。
スノーボードで腰を痛めました。
ジャンプして360度回転する技をやっていた時に、強引に回転させ過ぎて腰を極端にねじってしまい、激しい痛みが起きました。
すぐに痛みはおさまり、その後2~3本滑って、さて帰ろうと車に乗った瞬間!「痛っ~~~~!!!!!」腰に激痛が走り、それ以降、痛みで立つことも出来ない状態になってしまいました。
何とか車を運転して帰ったのですが、もう痛みで体中がガチガチにこわばり、脂汗を流しながら帰ったのを覚えています。
トイレに行くのも何をするにも這って行くありさま。
翌日も痛みは引かず、仕事を休んで腰の治療で有名と言う整形外科へいきました。
受付のソファーに腰掛けるのも激痛です。
何とか座っても今度は立ち上がるのが一苦労です。
当時、どれくらい痛いのかと聞かれたら「コーヒー缶を腰に無理やりねじ込まれたような感じ」と言っていました。
整形ではレントゲンとMRIを撮影。
骨には異常ないが、腰椎5と 4番のあいだにヘルニアがありました。
神経が半分ぐらい押しつぶされてる画像を見ました。
症状は、左腰背部の強烈な痛みが主で、脚への痛みやシビレ感などは、いっさいありません。
医者には、「手術をするとすればしばらく入院になるので、仕事を休むようになる。レーザーで椎間板を焼く方法もあるが、まだ保険適応になってないので30万円ぐらい(確か記憶では?)実費となるが、その代わり日帰り手術が可能。でも、ヘルニアを取っても痛みがなくならない場合もあるので保障はできない。しばらく薬で様子を見る方法もある。」
と言われたと記憶しています。
仕事も休めないし、お金もないし、手術は怖いし。
それに、ヘルニアは脚がしびれるものだと当時思っており、脚はなんとも無く、腰が痛いだけなのだから「ヘルニアは関係ないんじゃないかなあ・・??」となんとなく思っていたので、鎮痛剤と筋弛緩剤と定番の胃薬の三点セットを処方してもらいました。
薬を飲んだからといって楽になるわけではありませんでしたが、その後一月ぐらいは飲み続け、まあなんとか普通の生活は出来るようにはなりました。
しかし、長時間座っていたり立っていたりが辛く、またストレッチや空手をやると、その後腰が痛くなりました。
動かしているときは割りと大丈夫でしたが、やはりなんとなく腰をかばってしまうので、蹴りや突きの威力が落ちてしまいました。
それでも、真剣には悩んでおらず、鍛えてればまた元のようになると漠然と考えていました。
それまで、体のどこかが慢性的に痛むということがなかったので、「ちょっと腰が悪くて・・(^^)」と人に言えることがなんとなく気分が良かったと言う変な心理もありました。
今考えると馬鹿なことです。
その後も空手、スノーボードは今までどおり続け、自宅でのトレーニングもなるべく欠かさずやっていました。
その間、腰痛は完治することはなく月日は過ぎて、それは27歳の冬!とどめを刺す事件が起きました。 

スノーボードで腰椎骨折

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27歳の冬。
北海道へ友人たちとスノーボードに行った時のことです。
雪質も良くスノーボードを満喫。ふかふか雪で、無理をしても怪我をすることはありません。
それで調子に乗ったのでしょう。
ゲレンデ横のジャンプ台で、空中で360度回転する技をやったとき。
回転が足りず、左腰側面から地面に激突!強烈な痛みでした。
何とか這ってコースからはずれ、少し休んだのですが、あまりの激痛で立つこともままならない。
もしかすると、内蔵にダメージが出てるのかと思うような苦しさです。
この日は、ツアー最終日。もう飛行場へいかなければいけない時間帯です。
何とか踏ん張って歩いて、友人たちに心配させないよう我慢して飛行場に向かいました。
顔は真っ青だったと思います。
飛行機の中では身動きできない状態でした。
自宅に無事着き、その日はすぐ眠りました。

翌日は、どうしても休めない仕事が 入っていたのでそのまま出社。
前日に比べれば何とか動けるぐらいにはなっていたのですが、体を左に少しでも倒すと左腰に激痛が走るので、楽には歩けません。
でも不思議なことに右には曲げることが出来ました。
その日は仕事を乗り切ったのですが、その夜に熱が出ました。
これはもしや骨折では?と思い、翌日整形外科へ。
やはり腰椎3,4,5番の左横突起に骨折がありました。
骨が筋肉で固定され、ずれてはいなっかのが幸いでした。
「もしずれて臓器に刺さっていたら大変なことになったぞ!」
と医者にしかられました。
スノーボードによる事故が多発していた時期です。

ギブスも出来ないので、コルセットと痛み止め、筋弛緩薬、胃薬をもらい、全治1ヶ月との診断。
体を左に曲げなければ動くことは出来たので、その後も整形に通いながら仕事を続けました。
安静にしてなかったからでしょう。
骨折箇所がなかなかつながらず、レントゲンで骨折痕が消えるまで3ヶ月ぐらいかかりました。
骨折が治ったあとも腰の痛みは続き、だんだんと痛みが背中全体にまで広がり、左のお尻やももにも出始めました。
整形では、薬と電気治療、牽引の治療をしていたのですが、治る気配はなく、さすがにこんな状態が長く続くと「一生治らないんじゃないか」と不安な気持ちにもなりました。

骨折から半年たち、整形に通うのも止め、時々マッサージに行ったりしながら慢性腰痛を抱えたまますごしていました。
そのうち右足の感覚もおかしくなってきました。
シビレや痛みではなく、右足にしっかり体重を乗せられない感じです。
実際、右足で片足立ちをすると、ふらつきます。左足の片足立ちは楽で安定しているのですが、この感じが右足にはでないのです。
この症状も常にあるわけではなく、突然現れて、1~2週間で突然消えます。
違和感無く普通に歩いていると、立ち止まり歩き出した瞬間にさっきまで無かった違和感がまた突然出る・・消える時も同じような感じで突然違和感が消えます。

慢性腰痛の完成

腰椎骨折から半年。
近所の整体に行くようになりました。
週1~2回。2~3ヶ月くらい通いました。
骨盤の矯正(スラスト)や母指による指圧が主で、かなり強く押してもらいました。
痛かったのですが、痛気持ちよく、やってもらうと背中がずいぶん楽になりました。
しかし、治ることはありませんでした。

その後は、空手の稽古も遠のき、ぶら下がり健康器や電気治療機を買ったり、塗り薬、シップも色々と種類を試し、ずいぶんお金も使いました。
この頃には腰が痛いことが日常になっていました。
時々ぎっくり腰にもなりながら・・。
腰の状態は、長時間の座り、立ち、歩きで、腰が痛くなり、張ってくる感じです。
それと、寝転がって本を読むような体勢、つまり腰を反らせると、必ずそのあと腰の調子が悪くなりました。
ここまでくると、治し方も分からず、治るとも思えず、完全に腰痛の迷路に迷い込んでしまいました。

その後、28歳で結婚し、長男誕生。と、イベントが続き忙しくなり、空手もスノーボードも行けなくなりました。
腰痛は相変わらずで、

と、こんな状態でした。ただ、体を鍛えることは怠らないようにしていました。

10年間勤めた会社を30歳で退職し、今の仕事(手技療法)に転職しました。
やはり、動機の一つは、自分の腰痛を治したいと言う思いです。
手技療法・民間療法の業界。
退職前にずいぶん調べましたが、うそも多いように思いました。
それでも本当の技術が必ずあるはずだという直感を信じて一歩踏み出すことにしました。

専門家として自分の腰痛を見る

最初に学んだのは、カイロプラクティック学院です。
ここで2年勉強し、その後は関連施術院で働きながら、いくつかの技術セミナーを受講しました。
腰の状態はと言うと、なんとなく落ち着いてきましたが、腰に爆弾を抱えている感じはありました。
何かの拍子にスイッチが入っていしまうと爆発しそうな気がするので、気をつけて生活していました。

カイロプラクティック学院に在学中は、講師の先生にも診てもらいました。
アメリカのカイロプラクターが講師をしていたので、その先生にも矯正(関節を鳴らすスラストテクニック)してもらいました。
そこのカイロは筋のほぐしにも力を入れていたので、かなりしっかりほぐしてもらいました。
でも残念ながら、私の腰痛は治ることはありませんでした。
その頃からです。
自分で何とかしようと真剣に考え始めたのは。それでカイロプラクティック以外の療法も積極的に調べはじめました。
特に腰の解剖学、運動学も随分勉強しました。
学院卒業後は3年間、関連施術院で勤務しましたが、その間も5~6回は強烈な腰痛が続いたことがありました。
痛みがひどくなるきっかけは、ほんの些細な事です。

これらがきっかけで腰痛が出ると、1ヶ月以上続くことが多くありました。
仕事はカイロベッドを使い、立って前かがみの体勢が多く、これも腰へ負担をかけていたのだと思います。
デスクワークなどに比べれば、じっとしている事のない仕事なので、その点は良かったのだと思います。

2007年11月、独立開業。
畳の上での施術するスタイルに変えました。
その頃からです。
施術が終わり立ち上がろうとすると、腰が張ってなかなか伸びません。
立ち上がってしまえば楽になるのですが、また座っていると痛みが出る。
新しい施術スタイルに慣れるまでは仕方ないと思っていたのですが、次第に朝起きると腰が痛く、起きてすぐは前かがみになれなくなってきました。
この頃、前屈のときのへその動きを見ると、へその位置が「一旦左によってから真ん中に戻る」という蛇行運動をしていました。
これは腰がそれほど痛くないときにやっても同じでした。
かばっているつもりは無く、自分ではまっすぐお辞儀しているつもりなのですが・・。
このころ研究していた療法の先生方が、なぜか合気道をやっている方が多く、何か合気道にヒントがあるのかと思い、以前から興味もあったし、趣味と実益を兼ねて合気道を習い始めました。

2008年8月。
非常に難しい症状のお客さんの施術をしており、2時間ぐらい床に座りっぱなしで奮闘。
施術が終わって立ち上がろうとした際、ついに腰に激痛が。
いつもは左腰に痛みを感じるのですが、この時は真ん中、ちょうど腰椎5番と仙骨のあいだ(腰仙部)に強い痛みが発生しました。
何とか立ち上がり、原付バイクで帰宅。
痛みも少しおさまっていたので油断しました。
バイクのスタンドを上げた瞬間!激痛が。
痛みでその場にしゃがみ込むほどです。
翌朝は香川へ帰省する日で、長時間車の運転をしなければいけません。
不安に思いながら、その日はとりあえず早く寝ました。
翌日の朝、起きると痛みはさらにひどくなっていました。
自分で腰の弛緩操作を行って、なんとか痛みが減少。
前かがみにもなれるようになったので、予定通り車で帰省することにしました。
さて、順調に運転し、サービスエリアで休憩するために停車。
車から降りようとすると、またです。
痛くて降りられません。
1分ぐらいかけてゆっくり車から降り、さらに腰を伸ばすまで2分。
何とか伸ばすと、少し楽になります。
しかし、また運転して降りるときは同じ状況です。
実家に帰ってからも車の乗り降りを繰り返していたため、そのたびに痛みはきつくなり、痛さのあまり100円ショップで杖を買う始末。
今思えばあの時もう少し無理せずにしておけば、症状が長引く事はなかったのではないかと反省しています。
それからは、

という症状が慢性化してしまいました。
まずい!何とかして根本から治さなければ。
それからはあらゆる操法を自分に試して行きました。

自分の腰痛を治療

まずは、自分の腰痛をなるべく客観的に調べました。

他にもあったかもしれませんが、痛みが無くなった今となっては細かなことは忘れてしまいました。
まず最初に、左腰部の痛みについて考えてみました。
なぜ、左ばかり痛くなるのか?
特に床に座り込んで作業をしていると左だけ辛くなってきます。
ためしに右の腰で体を支えようとすると・・・なんと出来ませんでした。
体の向きを変えたり、膝を立てたり色々試したのですが、どうしても左腰メインで使ってしまい、右腰をメインで使うことが出来なくなっていました。

右腰が伸びなくなっているのか、あるいは左腰が縮まなくなっているのか?
この状態は、左腰椎横突起を骨折した時の状態と同じです。
あの時も、骨折直後から右側屈は出来るのですが、左側屈はまったく出来なかった。
骨折のときの影響が今も続いているのか?
しかし、考えてみると、右の腰が伸びづらく(あるいは左が縮みづらく)なったのは、空手をやり始めた17歳の頃からかもしれない。
あの時、左股関節を回し蹴りで痛め、それ以来左の回し蹴りが高く上がらなくなった(左の腰がつっかえる感じ)。
それに開脚ストレッチも左足のハムが伸びにくくなった。
もしかすると、左のハムが硬いのではなく、右の腰部が伸びなかったと考えるべきかも知れない。
と考え、右腰が伸びるようにすることを目標にしました。

まずはストレッチとマッサージを実施。
ただし、これは10何年も前からやってても効果がないわけで、駄目もとで実施しましたが、やはり効果なし。
効果があった方法は、緊張がゆるむポジショからの反射の誘導です。
結果はなかなか良好。
可動域がアップしました。
一つバリアーを超えた感じで伸びますが、左腰のようにはまだ伸びません。
それと、増えた可動域最終端で腰仙部中心からやや左にかけて痛みが出るようになりました。
もう一つの変化としては、床に座って仕事をしていると(腰が少し曲がった状態)、今まで感じなかった右腰の疲労感を感じるようになりました。
今までは、どの姿勢でも常に左腰に疲労感があったのが、このときから少し変わり始めたようでした。
おそらく右腰の制限が何割か減少したことで、右腰もメインで使えるようになってきたからだと考えています。
いい傾向だと判断しました。さらに、腰椎の左凸の弯曲が当初に比べると少なくなってきました。
しかし、まだ左腰の痛みと、腰仙部の痛み(しばらく腰を曲げてからの立ち上がり動作痛)と寝起き時の腰の強いこわばりは改善していません。そこで、今度も左腰部に着目して操作を進めることにしました。

まずは、腸腰筋から。
腸腰筋とは、腰椎~骨盤内側を経由して鼡径部をとおり股関節内側へ走っている大きな筋肉です。
腸腰筋にポイントを絞って、操体法、カウンターストレイン、経筋療法、開節法、PNF,筋エネルギーテクニックなど試行錯誤しながら行いました。
色々な療法を試しながら、その効果を検証し、それぞれの治療法の共通部分を研究したことが、今につながっています。
施術は自分で行うので、力が入ったり、最良のポジションへ体を持っていけなかったりと、簡単にはいきませんでした。
腸腰筋に関しては、揺らす操法によく反応しました。
これによって、左腸骨稜や鼡径部への痛みはかなり軽減。
左ももが胸に着くように脚を曲げると、左鼡径部奥に詰まるような痛みがずっとあったのですが、これも治りました。
さらに右腸腰筋にも同様の施術を行うと、体重の右足への乗せにくさも治りました。
この頃から寝起きの腰痛が随分小さくなってきました。
腰椎の可動性改善を目的に、腰を揺らす体操も行うようにしました。このおかげで、普段の腰の動かし方に変化が出はじめ、腰部の自由性がアップしてきました。
自然と負荷を逃がしやすい体勢をとれるようになってきたようです。
ここまでで改善したのをまとめると、

の6項目です。
これでほとんどの日常生活や激しい運動をしても、問題なくなりました
左脚での回し蹴りも非常にスムーズに高く上がるようになりました。あと残っているのは、長時間床に座って施術をしたあとの腰痛です。
ただ、痛みの度合いはかなり減っています。

今度は左腰部後面と、腰仙部に絞って操作を行いました。
各種療法やストレッチなども行いましたが、今回は今ひとつ効果が出ません。
効果があったのが、腰を反らせた位置での反射誘導でした。
これはその場で痛みが10→1へ減少しました。
この段階で、腰痛はかなり無理をしたときだけ痛みが出るぐらいまで回復してきました。

ここまでで、開業して4年ほど経っていたと思います。
このころから、今まで研究して発見してきたことと、合気道の技の研究から得た知識を総合して、筋肉の緊張に抵抗させずに関節の軸を調整する方法(後に集心法と名づけます)を考え始めました。
集心法の研究の過程で、私の腰痛にもまた変化がありました。
左の腰部を主体に治療を進めた結果、腰の状態は100点満点をつけれるぐらい回復しました。
かなりの負荷をかけてトレーニングしても以前のような痛みは出ません。
ただ、以前には無かった症状が出てきました。
それは、左内股の筋がピンと張って伸びなくなってしまったことです。
普段、痛みや違和感などはありません。
それに気づくのは、開脚ストレッチをしたときだけです。
ただ硬いというのとは違う張りです。
ストレッチを続けましたが全く柔らかくなる気配はありません。
普段何の影響もないので、2年以上放置していましたが、やはり少し気になります。
そこで集心法で左の股関節側面と後面の治療を行ってみました。
あれほど硬かった内股の筋は、その後弛緩し右足同様に楽に伸ばせるようになりました。
ところが今度は股関節側面に痛みが出始めます。
これは昔股関節を痛めたときに出ていたのと全く同じ、懐かしい痛みです。
筋肉痛が常にあるぐらいの痛みです。
これも股関節の治療を進めるうちに無くなりました。
最後の最後に現れたのが、大昔痛めた股関節だったのは、私の腰痛を陰で操り治りにくくしていたのが、一番最初に痛めた股関節が原因だったからかもしれません。

これで私の腰痛記録は終わります。
文章中、具体的な操法については余り細かく描写しませんでした。
それは、かなり試行錯誤しながら進めており、その中で何度も何度も肯定と否定を繰り返しながらの操法であり、それを正確に説明することが困難なためです。
今思えば、自分に腰痛があった事が自分の研究心に火をつけ、また自分を実験台に失敗覚悟で実験することが出来たので、腰痛があって良かったのかもしれません。
痛みがなくなると不思議なもので、以前の痛さを思い出すことが出来なくなり、この記録を書きながら思い出すのに苦労しています。
「喉元過ぎれば熱さ忘れる」と言うことわざ通りですね。

(2011年掲載)

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