肩こりのイメージってどんな感じでしょうか?
若い時からずっと凝り症で。
週一回マッサージに通ってますとか。
どちらかと言えば、慢性的なイメージが強いのかも知れません。
でも、慢性的な肩こりの人にも凝ってなかった頃はあったはずです。
いつの頃から肩こりが始まったのか、何が切っ掛けだったのか、など気になります。
ここで紹介するのは、今まで肩が凝ったことが無いと言う人が、突然肩こりを感じるようになって治らなくなってしまった話や、もう何年も慢性的な凝りが治らず困っている方の施術例です。
今まで肩が凝ったことなどほとんど無いという30代の人。
10日前から突然左肩にコリのような違和感が出るように。
肩が凝ったことが無いので、これが肩こりなのかどうかよくわからないそうです。
原因になるようなことは?と聞いたのですが、分からないそうです。
凝りがひどい時は、脇の後ろが少し痛くなるようです。
肩を触診してみると、筋肉の張りが強く出ている部分がいくつか見つかりました。
脇の後ろ(広背筋や大円筋)や、肩の上(肩甲挙筋、僧帽筋)などが主です。
しかし、筋肉が収縮して硬くなっていると言うよりは、膨張してパンパンに膨らんでいる感じです。
筋肉に起こる凝りは、二種類に分けれます。
筋が収縮して(短くなって)固さが出るコリと、逆に、伸ばされて(長くなって)膨張して張ったコリです。
膨張して張った凝りの場合、原因が他にあって、その影響で伸びざるを得ない状態になっている可能性があります。
肩関節の状態をよく検査すると、肩の位置が少し前に出ています。
胸鎖関節(鎖骨の胸の付け根側)部分に、やや上方へ向かう歪みが出ています。
それと、左ふくらはぎと左膝裏に緊張と圧痛が強く見られます。
左下肢に緊張があると、重心(支え)が左後方にとどまりやすくなる傾向が出るため、その垂直線上に負荷が極端にかかりやすくなります。
突然の肩こりの主な原因は、肩関節の歪みにあると思われますが、左下半身の緊張もありそうです。
ふくらはぎの緊張や膝裏の圧痛は、足を支配している坐骨神経が緊張している現れとも言われ、普段の不良姿勢や重心の不均衡などによって起こるようです。
坐骨神経ラインが緊張すると、殿部や脊柱起立筋(背骨をささえる筋)も張り、肩や首の凝りも発生しやすくなります。
膝を揺らして坐骨神経ラインを緩めると、膝裏の圧痛は無くなりました。
左脚の後ろから背中までの無駄な緊張も取れてきたようなので、胸鎖関節周辺の調整を行うことにしました。
鎖骨と首との隙間が、緊張で詰まっています。
この緊張を緩めます。
普通でも強く押すとちょっと痛い場所なので、あまり痛みを与えないように慎重に。
ある程度緩んでくると肩が少し軽くなったようです。
次は肩の歪みの調整。
肩関節を後ろに少し引いた位置で、腕をゆっくり何回か回します。
反発が出ないように回すと、次第に緩んできました。
肩の凝りを確認してもらうと、これでもうほとんど凝り感は無くなったそうです。
その後も経過は良好で、再発する事無く、二回目の施術で終了となりました。
もしかすると、こういったことが切っ掛けになって慢性の肩こりに進んでいくのかも知れません。
ここでの話は、5年間ずっと肩こりが慢性的に続いている女性の話です。
肩こりがひどい時は、腕にシビレも出るそうです。
整体にも何軒か行ったそうですが、治らずに五年が過ぎたそうです。
今まで試した施術は、マッサージや、もみほぐし系の整体、関節を矯正(ボキっと鳴らす)整体だそうです。
背中を見ると、亀の甲羅のようです。
筋肉が張ってしまって、背中が丸くなっています。
背骨にゆがみが出ています。
図のように、右へ左へとクネクネ蛇行しています。
頸椎は左へ、胸椎は右へ、腰椎は左へと、飛び出しています。
可動域の制限(緊張による制限)がなければ、見た目の歪みはそれほど問題はありませんので、切り分けるためにいくつかテストを行います。
動作テストで、首の動作を各方向(回旋・側屈・前後屈等)調べます。
顔を左へねじって傾ける方向。
この動きをすると、左の首~肩にかけて、痛みが広がります。
腕(肩)や腰をの動作テストでは、特に痛みは出ません。
他にいくつかのテストを行って、このかたの慢性肩こりの原因は、首(頸椎)周辺にあると判断。
施術計画を立てて行きます。
頸椎を触診します。
頸椎には、左へ凸の歪みがあります。
首の動作テストでも、首を左へ曲げて行く方向に制限が出ています。
緊張の元を探します。
仰向けで、緊張している首を両手で支えると、やはり緊張でバランスが乱れ傾いているので、支えを合わせてしばらく緩むのを待ちます。
さすがに慢性化して長いと、簡単には緩み始めませんが、支える位置がピッタリ重なると次第に緊張は緩み始めました。
首の緊張を緩めると、首の歪みも消えました。
次に、胸椎、腰椎の大きな歪みを施術します。
この歪みが、首~肩へ負荷をかけているようです。
当初、頸椎の施術で解決するかも、と思っていたのですが、そう都合よくは行きませんでした。
胸椎、腰椎共に、同様の施術を進めます。
背骨全体の緊張(歪み)が無くなってくると次第に症状も小さくなり、四か月後には完全に凝りが無くなりました。
あれほどひどかった肩こりがすっかり無くなり、慢性肩こりから卒業することが出来たそうです。
症状の出ている周辺だけの施術では、解決しない事も多々あります。
特に年数が経っていると、緊張エリアが広がっていく事があるため、思わぬ所が影響していることもあります。
このかたは、腰や背中にできた緊張が不安定な土台となって、首へ負荷をかけ、慢性的な肩こりが維持されたのかも知れません。
人は、起きているほとんどの時間を、体を起こして生活します。
その姿勢の要になるのが「腰」です。
腰が固定してしまいうまく機能しないと、背中や肩、首にまで悪影響が広がることがあります。
この人は、1年前に転職し、そのあとから肩や首のコリがひどくなりました。
慢性肩こり・首コリになってしまったそうです。
環境(仕事など)が変わると、体調に大きな変化が出てしまう事は良くあります。
大体は一時的なもので、環境に慣れてくれば症状も消えてくるのですが、この人は慢性化してしまいました。
脚のダルさや足裏の凝り・むくみも気になるそうです。
この脚の症状は、転職するよりも前からだそうです。
下半身が疲れてくると、次第に全身が疲労し始め、とても体が疲れやすくなったと言います。
疲れやすいのは体力が無いせいだと思って、週3回1時間のランニングを習慣にして来たそうです。
週3回1時間はなかなかハードなほうですね。
これらの症状を治したくて、以前鍼治療を5か月続けたそうですが、上手く治らなかったそうです。
さて、この症状をどう考えるべきなのか。
全身症状のような感じなので、どこから見て行くか悩みます。
下半身(足首や膝など)に問題があると、全身のバランスに乱れが生じやすい。
バランスの乱れは、首や肩など上半身へも負荷をかけ、肩こり頭痛など別の場所へも症状を広げてしまうこともあります。
おおもとの足を治せば全身治る場合もありますが、慢性化が長く続いていると、それぞれ個別に治していく必要もあります。
色々考えて、先ずは、肩や首の慢性的コリを見ていくことにしました。
肩周辺の状態を見ると、僧帽筋がとても薄くなっていて、首の付け根にある肋骨(第1、第2肋骨)が簡単に触れるほどになっています。
筋肉が凝って分厚くなっている場合とは逆に、疲労で薄くなっている場合は、極度の疲労で筋肉がダメージを受けて繊維化を始めていると考えられます。
仕事でうつむく作業が多いそうなので、原因の一つにはなっているのでしょう。
上半身はやや左へ傾いており、傾きの元は腰の歪みにあるようでした。
そこで腰周辺を調べると、右の腰に緊張が出ていました。
骨盤の際の部分だったので、骨盤の動きを使って緩めます。
骨盤を使って腰をゆっくり傾かせ、緊張と釣り合ったところで緩む方向へ向きを変え正確に動かして行きます。
腰がある程度緩んだところで、次は疲労で弱ってしまっている肩の筋肉を見ることにしました。
僧帽筋と肩甲骨から首に繋がっている肩甲挙筋にいくつか緊張が見つかりました。
これらを頸椎と肩甲骨の動きを使って緩めます。
最期に足首。
話を細かく聞いていくと、足首を今まで何度も痛めているそうで、捻挫を繰り返したそうです。両足共に。
両足首を見ると、足首を内側へ曲げるとコリコリ変な音がします。
どうやら関節がゆるくなっているようです。
何度も捻挫をしてきたのも、足首の靭帯が伸びてしまって関節が緩くなっていたからでしょう。
伸びて緩くなった靭帯を締めなおすことは出来ませんが、内くるぶし側に筋緊張が出ていたので、これを緩めることにしました。
外くるぶし側へ力が抜け出ていく方向に緩くなっています。
これと反対方向に関節を動かしながら、内くるぶし側の筋緊張とつりあう位置まで動かします。
そこから内くるぶしの緊張が緩む方向を探り合わせて行くと、次第に緊張が緩み足首の関節が中心へ戻って来ます。
これでコリコリ音は鳴らなくなり、関節にも粘りが出てきました。
靭帯は緩いままですが、筋肉がその代わりに働いてくれます。
さてもう一つ気になるのは、体力向上のために続けているマラソンです。
話を聞くと、睡眠時間帯は24時~7時ごろまで。週2~3回の頻度で1時間ほどランニングをしていますが、走る時間が夜の9時ごろだそうです。
1時間ランニングするにはちょっと遅い時間帯です。
時々目がさえてしまって午前1時や2時まで眠れないことがあるそうです。
ランニングで優位になった交感神経が、その後しばらく納まらなくなっているようですね。
これでは良い睡眠の妨げになってしまいます。
体が疲れやすいのは生活習慣も大きく関係します。
この人の生活習慣での問題は、ランニングの時間帯でした。
疲労の要因はいくつも考えられますが、簡単に考えれば、
1~3は問診から問題ないようでしたが、4番目の疲労回復時間の不足が慢性的に起きていたのでしょう。
そこでアドバイスしたのは睡眠時間帯の変更です。
少し早めに寝るようにして、朝は少し早く起きてランニ
ングをするように薦めました。
とても積極的に生活改善を行ってくれました。
以上、一連の施術を終え、アドバイスを実行してもらった事で、肩と首の凝りと脚の疲労やむくみ、そして疲れやすい体調すべて解決しました。
何事もやりようによっては毒にもなり薬にもなる。
そんな話でした。
(2015年掲載)2022.04更正