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演奏家の背中のコリと頭痛

演奏家の背中の痛み

大きな管楽器(楽器の名前は忘れました)を演奏される演奏家の女性の話です。
肩と背中が常に凝りと張りで痛むそうです。
肩と背中のコリがひどくなって痛みになってくると、今度は頭痛まで出るそうです。
片頭痛のような「ズキズキ」脈打つ頭痛ではないようです。
それと腰痛があります。
数年前に足首を酷く痛めた事があるそうで、それから腰痛が悪化したように思うそうです。
足首のケガと腰痛。確かに関係がありそうです。

演奏の練習は、長時間椅子に座って行われるそうで、その間、大きな楽器を抱えた姿勢を続けることになるようです。
どんな姿勢なのかちょっと格好だけやってもらったのですが、確かに長時間はきつそうな感じです。
本人も、無理な姿勢が腰や背中に負担をかけているのだろうと言っています。
無理に見える姿勢でも、その姿勢なりに最良な体の支え方が出来れば、体に極端な負荷をかけずに姿勢を維持出来ます。
支え方が上手くないだけなのか、うまく支える事を邪魔している「ロックした緊張」が潜んでいるのか、調べて行く事にしました。、

数年前に痛めたという足首ですが、今はもう痛みなどは無く、特に違和感なども感じ無いそうです。
本人に自覚が無くても、調べて見ると問題がある場合もあるので、念のため調べてみます。
足首の関節は、大きな関節と小さな複数の関節が合わさって出来ているので、足の甲の部分から脛の辺りまで広い範囲を調べます。
単純な足首の可動域は、外返し(外反)方向の動きが狭くなっています。
足首の部分を両手で支えてバランスをみると、内くるぶし側に緊張のロックがかかっているのが分かります。
ケガの後遺症で単純に硬くなっているだけかな?とも思ったのですが、そうでは無かったようです。

足首の状態の良し悪しは、結構全身のバランスに影響を与えます。
人は普段足で立っている事が多いですし、椅子に座っているときもお尻と足で支えているわけなので、体を支える根っこの部分と言っても良いと思います。
これが上手く機能していなくて、腰痛や背中のコリや痛み、肩こりから頭痛へと繋がっているのかも知れません。

足首に掛かっている緊張のロックをまずは外します。
足首を両手で支えて、バランスの傾きを見ます。
内くるぶしの位置にバランスが傾き重く落ちてくる重い部分が出ているので、そこを垂直に安定するように支えてやります。
正確に支える事が出来ると、その部分が周囲の緊張から分離され、次第に緩みはじめます。
ケガをしたのが数年前と、年数が結構経っていたのですが、その割には短時間で緩みが出てきました。
緊張の方向からすると、ロックしていたのは前脛骨筋の一部だと思います。
ある程度緩んだので、足首の可動域も広がり、動きもスムーズになったので、足首はこれで良さそうです。

腰痛は、楽器の演奏姿勢をしていると出てくるタイプなので、痛みを確認する事が出来ません。
前屈や側屈、回旋などの腰の動作テストで調べると、左右の腰の筋肉共に伸びが悪くなっているようです。
その伸びの悪さに更に顕著な左右差が出ており、それで重心の移動(バランス)にも片寄りが出ています。
椅子に座った時には、お尻(骨盤部)でバランスを取る必要があって、体を上手く支えるにはこの部分で重心移動がスムーズに行われる必要があります。
それが出来ないと、無理な位置で体を支えるしかなくなるので、腰や背中にはかなり負荷が掛かります。
今回の症状の大きな原因と考えられそうです。

腰の緊張は縦向きで、その方向と位置から考えると、筋肉は腰方形筋でしょう。
伸びない側の骨盤(腸骨)を支えるようにして、腰方形筋の緊張が出ているあたりに重く落ち込んでいる部分が無いか探します。
やはりそこに緊張のロックが見つかったので、ロックを解除してゆるむまで待ちました。
腰の伸びがだいぶ左右均等になってきたので良さそうです。

足首と腰の施術を行い、その後どうだったか聞いてみると、演奏で長時間椅子に座っていても、以前の様な苦痛はなくなったそうです。
背中や肩のコリも不思議と和らいでいると言います。
ただ、肩甲骨の内側にまだコリを感じるそうなので、今度は背中を調べてみる事にしました。

一番コリを感じる部分を聞くと、コリは右背中に強く感じるようです。
触診すると、胸椎3番の右側にロックした緊張があります。
右肩の上(僧帽筋)も硬くなっていましたが、これは普通の疲労性の膨張でした。
右側を上にして横向きに寝てもらい、胸椎3番の緊張部分に焦点が合うように支えます。
緊張のロックを外し緩んでくると、肩に有った緊張も合わせて緩んできました。

背中を緩めた後は、腰も背中も良い調子だそうで、演奏の練習も楽にできるようになったと喜んでくれました。
一安心。よかったです。

怪我は、治ったように見えても、実は治りきらずに緊張がキープされ、悪影響を及ぼしている場合があります。
体の中の消えない緊張は、体全体の動きに影響します。
特に重心の移動(バランスのコントロール)に大きな影響を与えると、滑らかで楽な動作が出来にくくなってしまいます。
適度な運動と十分な休養で体を健康に保つ事と、あとはなるべく怪我をしないよう気を付けることが一番です。

2018/12/10作成(2022.03更新)

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