膝の痛みと言っても、痛い場所や痛む動作、痛みの種類など様々です。
その発生経緯も違いますし、直すルートも違います。
それぞれ原因の違う3つの施術例を書きます。
この話は、特にはっきりした原因もなく、最近膝が痛むと言う話です。
「歩き過ぎたのかなあ?」とおっしゃいます。
筋肉痛なんかでも、膝に痛みを感じる事もあるのですが、それにしては、ちょっと痛みが長く続いているようです。
歩く時は、痛みは無いそうですが、少し膝周りに違和感はあるそうです。
正座をすると痛みははっきり出て、モモが張って、膝の皿の上から外側に向かって痛みを感じます。
この痛みは、日によって変わるようで、膝裏が痛かったり皿の下がい痛かったりと、曲げ方・座り方の微妙な違いで変わるようです。
そこで、椅子に座って脚を組む要領で股関節を外へ開いてもらうと、はっきりとモモの内側に張りと違和感が出ました。
この内またの張りと違和感には、気が付いていなかったそうです。
この張りを感じている筋肉は、内転筋群です。
この筋群は、単純には脚を内側へ寄せる働きをします。
この内転筋群の一つに、不自然に緊張している部分があります。
膝の内側には、モモの裏のハムストリングスと言う筋もあります。
この筋肉も張っていますが、緊張が取れなくなっているという状態は作られていません。
なので、目標を内転筋に絞って、施術を行う事にします。
仰向けでモモを両手で抱え、内転筋の緊張が緩む方向を、モモ(股関節)からの動きで探します。
しばらく待つと、内転筋がゆるみはじめ、それと同時にハムストリングスも一緒に緩みました。
やはり、ハムストリングスの張りは、内転筋からの悪影響だったようです。
おおよそ緊張が緩んだので、もう一度張りと痛みが出るか試したところ、もう痛みも張りもありませんでした。
内転筋の異常は、普段気が付きにくいようです。
内転筋に緊張があっても、歩き方は変になるものの、普通に歩けてしまうので、本人も気づかないまま、膝に無理を続けてしまっている事があるのでしょう。
膝に痛みが出た時には、膝が曲がって変形が始まっている、と言うこともあり得るので、気を付けなければいけません。
骨の変形は、滅多なことでは元に戻りませんから、そうならないように気を付けるしかありません。
但し、骨が変形=痛み、とは限りませんが。
膝の痛みにも色々ありますが、このかたの場合は、正座は大丈夫。
膝の屈伸運動や歩くのにも支障は無い。
でも、しばらく膝を動かさない状態から、急に伸ばしたり曲げたりすると、膝の関節の周りに痛みが出ます。
膝をひねったとか、無理をしたとか、何も思い当たる理由は無いそうです。
膝の動作テストをしてみましたが、確かに痛みが出る動きは無いようです。
どういう事なのでしょうか?
どんな膝の痛みでも、まず見るのは、膝の裏側の状態です。
膝の裏に緊張が出ると、膝の関節が詰まり、動きに滑らかさが出なくなります。
そのうち関節が負荷を受けて、痛みを出し始めます。
この場合、だいたい正座で痛みが出るパターンが多いので、このかたには当てはまらないかも?
膝裏を触診したところ、正座では痛みが出ないこのかたの場合、案の定膝裏に緊張は出ていません。
そうすると、どこに異常が有るのでしょうか?
膝の筋肉には、膝関節をまたいで足首側へ行くものと、太もも側へ行くものが有ります。
結構大きな面積の筋肉群です。
それらのどこかに異常が起きているのでしょう。
ふくらはぎ側から順番に、股関節側へ向けて、検査していく事にします。
検査は仰向けで、片脚を持ち上げて、検査する部分を支えるように持ちます。
きちんと支えると、緊張がある方へ傾き始めるので、この変化を緊張の有無検査に利用します。
すると、太もも外側と、膝の外側に不自然な緊張が見つかりました。
そこを押さえると、少し痛みがあります。
普段は、その部分に痛みなど全く感じなかったようです。
そこで、この2カ所の緊張を緩めてみる事にします。
一カ所は膝関節を。もう一カ所は股関節を使って緩めます。
どちらも、検査の時と同じように緩める場所を支え、傾きが消える位置へ支えを移動します。
すると、緊張していた筋肉は、ロックが外れたようにゆるみ始めます。
緊張の引っ掛かりが取れたおかげで、広範囲に周囲の筋もゆるんで来ました。
後は、実際の生活で、痛みがどうなのかを試してもらいましたが、もう痛みは出なくなったそうです。
普通のコリによる緊張であれば、伸びにくさはあっても、伸びないわけではないのですが、ここで言う緊張は、全然伸び縮みしない、引っかかったような状態(緊張にロックがかかった状態)の事を言います。
これが症状を出し始めると、その筋肉全体に緊張が広がり、次第に周辺の血液循環低下を招きます。
動かしていれば、血液循環は促されるので、痛みは出なかったのでしょう。
しかし、じっとしていると、血液循環は悪くなってしまいます。
この影響が、動きはじめだけ出る膝の痛みに繋がっていたのでしょう。
小さな緊張なのですが、条件がそろうと、変な痛みや症状が出てきます。
何も悪さしないで隠れている緊張もありますが、ひそかに体に制限(負荷)をかけているのは、間違いありません。
何か条件がそろうと、顔を出すかも知れませんので、あまり無理をかけ過ぎないよう気を付けてください。
体重が重いと膝に負荷がかかるという話はよく聞きますが、それって本当でしょうか。
膝が痛むのは体重のせい?
確かに体重が重ければ、膝にかかる加重も大きいのが当たり前です。
膝にかかる重さは、歩くだけでも体重の2~3倍。
階段だと体重の3~4倍。
ジャンプすると、体重の5倍以上と言われています。
私の体重は63Kg。
と言うことは、歩いているときは180Kgぐらい、階段では240Kgぐらい、ジャンプした時なんかは63Kg×5倍としても315Kg以上がかかってることになります。
なんだか、すごい重さに感じますが、ジャンプした時、別に膝が悲鳴を上げるような、壊れそうな感覚はありません。
この程度の荷重がかかったところで、ひざは全然平気、まだまだ余裕の許容範囲内ということなんでしょう。
膝はそれだけの荷重負荷に耐える強度があると言えますね。
もちろん膝だけではなく、人の体はとても脆そうに見えて、すごい負荷にも耐えられる仕組みになっています。
仕組みであって構造ではありません。
体の各パーツ、主に骨や筋肉が構造的に頑丈だから、こんな負荷にも耐えられると言うことではなく、各パーツはどちらかと言えばそれほど頑丈ではないのに、体全体で上手にバランスをコントロールする事で衝撃が体内を通過するようにし、破壊から身を守っているのです。
バランスコントロールこそが命です。
軽くジャンプしただけでも、変なバランスで不安定に着地した時は、意外なほど簡単に体が壊れますから。
さて、ある女性の膝の話です。
最近立ち上がるときに、両膝の前(膝の皿)に痛みが出るそうです。
体重が重いので痩せないとダメかしら?
と言いますが、少し体重が増えたぐらいで、膝は痛むものではありません。
体重の増減にかかわらず、膝関節の動きが狂えば膝は簡単に壊れて痛むことになります。
膝のバランスの狂いが長期間に及ぶと、次第に膝関節自体が傷つき、損傷を繰り返してしまうので、そうなると慢性化して、回復には時間を要します。
このかたは、膝の可動域は正常で、正座も出来たので、まだ膝自体の損傷は少ないようです。
何が膝に負荷をかけているのか?
を調べなければいけません。
それを切り分けるために動作テストを行った結果、腰(腰椎3,4、5番と仙骨部分)に重心の移動を妨げる異常がありました。
主に腰の後方に重心が固定されています。
そのせいでしょう。
膝に無理な負荷がかかり、痛みが出ていたのは。
重心が腰椎の後方に固定された原因を、ゆるめなければいけません。
施術箇所はおおむ腰椎周辺でしたが、骨盤周辺や足首や膝自体にもいくつか小さな緊張がロックされていました。
施術は、緩めたい関節を支えられる体勢を取ります。
緊張がかかっている関節は、緊張力によってバランスが傾いているので、その傾きが出ない位置で支え直します。
支え直した位置が、丁度バランスが取れる位置と一致していれば、その緊張は次第に緩んできます。
緊張が緩むと、固定されていた重心(支点)が移動できるようになります。
後方に固定気味の重心軸が、施術で自由に動けるようになると、立ち上がる時の両膝の痛みは出なくなりました。
腰椎(背骨)の影響が股関節や膝、足首へ広がり、悪くしてしまう事があります。
膝の損傷が進んでいると、治るまでは少し時間がかかりますが、次第に良くなって行きます。
2018/12/7作成(2021.09更新)