足の甲にシビレや痛みが出る場合があります。
足なので歩くたびに痛みますし、体重がどうしてもかかる場所なので治りが悪かったり、痛みをかばって別の場所が痛くなったりと、痛むと何かと厄介な場所です。
構造もちょっと複雑で、小さい骨(足根骨)が何個も寄り集まっていて、そこに歪みが出た状態だと痛みやシビレが出てしまう事があります。
今回は、ケガをかばっているうちに痛みとシビレが出るようになり10年もたってしまった人と、3週間前に突然痛みが出始めて治らなくなってしまった人の足の甲の痛みについて話します。
まずは、足部の骨の構造について。
足首周辺の構造はちょっと複雑です。
足首の関節を構成しているのは、距骨と言う骨です。
その周辺には、カカトの骨(踵骨)や、甲に5つの足根骨(舟状骨、3つの楔状骨、立方骨)があり、その先には指へつながる5本の中足骨があり、これら沢山の骨と関節で構成されています。
足根骨と中足骨と一緒になって弓状のアーチを構成しており、衝撃を吸収の役割も持っています。
大きな事故が原因で、ケガをした部分に痛みが残るのは良くある話しですが、怪我をしなかった方に後になって痛みが出ると言うパターンもあります。
ちょっと不思議ですけど、かばって無理が来たのでしょうか。
10年前にとても大きな事故にあって、片足に大きなケガを負った人です。
ケガをした足が治った頃、なぜか反対側の脚全体に強い痛みが出るようになったそうです。
かなり痛かったようで、歩くのも辛かったそうです。
病院でしばらくリハビリを行ううちに、脚全体の痛みは治まって歩けるようになったそうですが、今でも足の甲の小指~薬指の範囲が常にシビレていて、感覚が鈍くなっています。
歩いていると次第に痛みが出て来るそうです。
かなり大きな事故だったようで、その時の影響でどこかに緊張が残っているのかも知れません。
あるいは怪我した脚をかばっているうちに、反対の足に負荷がかかって悪くなってしまったのかも知れません。
事故の状況を聞いて、どこに負荷がかかったかを推測しようと思いましたが、事故の瞬間何がどうなったか分からず覚えていないそうです。
推理するのは諦めました。
仕方ないので、体を支える大元の足首から見ていく事にしました。
シビレが出ている側の足首の状態を見ます。
健側に比べて、脛に緊張が出ています。
また、足首の関節の動きにも制限が出ています。
つま先を下げる方向(底屈方向)の動きも悪くなっています。
脛の筋肉が緊張していれば起きる現象ですが、脛の緊張を直接緩めようとしてもあまり上手く行きません。
そこで、足首の足根骨部分を調べてみる事にしました。
足首には足根骨と言われる沢山の小さな骨が集まっています。
このうちのいくつかが、甲の中へ入って外へ動きにくくなっていました。
歪みを作っている緊張力が足根骨に掛かっています。
そこで足根骨からアプローチして、緩める事にしました。
施術は、足根骨の甲側と足底側を片手で挟んで、バランスよく支えるように保持します。
緊張で歪んでいる部分には、足根骨を傾ける力が働いているので、これを支え直して緩むまでしばらくつ待ちます。
緊張がゆるみ始め、それと共に脛の筋肉の緊張も緩んで来ました。
シビレと痛みがこれで改善するのかどうかは、その場では判断がつかなかったので、継続した施術をすることになり、その後2回の施術を行うと、足の甲のシビレと感覚低下は無くなり、痛みも出なくなりました。
10年とかなり年数が経っていた症状です。
皮膚の感覚低下も起きていました。
痛みだけであれば、感覚神経は正常なのですんなり回復しやすいのですが、感覚が低下しているとちょっと厄介です。
神経(感覚神経)にダメージがあり、そのダメージが原因で感覚を感じなくなっている場合があります。
神経は大きく傷ついてしまうと、あまり回復の見込みがありません。
そういう種類の細胞だからです。
幸いにも感覚神経に損傷が無かったので皮膚感覚も正常になりました。
もし神経がダメージを受けて感覚低下していたのなら、施術で緊張を解除しても感覚低下は治らなかったと思います。
30代男性で、3週間前から歩くと右足の甲に痛みが走ると言って来院しました。
原因は全く思い当たらない。
歩けないほどの強烈な痛みではない。
足の甲が突っ張るような痛みだそうです。
足の甲自体に問題があるのか?それとも他の部分の影響で足の甲に痛みが出ているのか?
今回痛みを感じる場所は、足根骨の上辺り。
そこで、横になってもらい足首周辺の全ての関節をチェックしました。
しかし、圧痛もなく極端な緊張も見当たりません。
足以外に原因があるのかと思い、視点を変えてみました。
足の甲に負荷を掛けるとすれば、単純に考えれば体重の負荷ですが、しかし、体はかなりの重さや負荷に耐えることが出来るようになっています。
もちろん足首や足部もです。
しかし、脚にかかる負荷が倍増してしまう条件があります。
それはバランスの乱れた状態での動きです。
バランスがとれていれば、体の内部に衝撃を集中させることはなく、エネルギーの大部分を地面へ逃がします。
しかしバランス(重心移動のコントロール)が乱れた状態では、体の中に固定支点を作り、そこに負荷が集まって壊れます。
体のどこが狂っても足に負荷が集中する可能性はありますが、その中でも特に影響力の大きい腰の付け根(腰仙部)や股関節、膝関節のチェックを行いました。
しかし、どれも特に問題は見つかりません。
いよいよ困ってしまい、もう一度足部に着目。
ふと、実際に体重をかけたときの足部の状態はどうなんだろうと思い、立って体重をかけてもらいながら触ってみると、痛むほうの足の甲が少し盛り上がっているのが見られました。
場所は、中足骨と足根骨の間の関節です。
ああこれなのかな?と予想を立てて、その関節の緊張が緩むよう施術を行いました。
その場では「なんだか少し良いみたい」程度だったのですが、2~3日すると痛みは無くなったそうです。
どうやら施術ポイントは間違っていなかったようですが、非常にわずかな緊張(歪み)だったので見逃すところでした。
(2017年掲載)2022.04更正