整体よもやま話

ジーンと時々手のしびれ

鎖骨下動脈

シビレと言っても様々です。
人によって、感じている感覚はかなり異なります。
「電気が走るようなピリピリ」
「感覚が低下して麻痺した感じ」
「正座で足がジンジン」
どれも同じように「シビレ」と表現されます。
しかし、それぞれ原因が違っている事が多いので、そこは区別して考えます。
今回の話は、正座で足がしびれるのと同じ「ジンジン」のシビレ。
つまり、血流障害が原因だった、手のシビレの話です。

このかたの症状は、4か月前からです。
シビレが一日に数回、肘から手の先にかけて「ジーン」とした感覚で起こります。
シビレは数分待つと自然に治まります。
痛みは無く、皮膚の感覚も正常で、握力(筋力)の低下もありません。
痺れた時は、手の指を屈伸すると、シビレの治りが速くなります。
これらの情報から、しびれの原因は血流障害であろうと判断しました。
もし、血流障害ではなく、神経の損傷による感覚低下だった場合。
その時は、治る見込みがかなり薄くなります。
神経細胞は、一度傷つくと回復が悪く、後遺症が残りやすいからです。

さて、腕への血液供給の話です。
腕への血液は、鎖骨の下から脇の下を通る血管から供給されます。
血流障害が起きやすいポイントとしては、脇の下や、鎖骨部分があります。
斜角筋、大胸筋、小胸筋、大円筋などの筋肉が付着している場所です。
これらの筋肉に緊張のロックがかかり、慢性疲労や過緊張が続くと、そこを走行している血管の流れも阻害します。
筋肉には、血管の通り道としての役目もあります。
筋肉が緊張を続けると、血管にが圧迫され、次第に血液の流れは悪くなります。
神経も血管と並走しています。
血管から染み出た栄養をもらうためです。
血液の流れが悪くなると、神経もまた栄養をもらえず、機能不全に陥ります。

まずは、脇の下や鎖骨周辺の検査をします。
やはり、脇の下と鎖骨部に付着している筋群に、慢性化した緊張が多く見られます。
筋肉の緊張は、その筋自体が悪くて緊張が解けない場合と、悪い部分をかばう為に緊張している場合があります。
この二つは、同じ緊張に思えますが、緊張のメカニズムが違います。
かばって緊張しているのであれば、施術の必要はありません。
ただの疲労性の緊張なので、休めれば治ります。
施術の目標は、それ自身が緊張の発動元になっている筋肉です。
検査を行いこれらを切り分け、緊張を緩める施術を行います。

このかたは、シビレが出ている側の、斜角筋と呼ばれる首の側面の筋肉に、主要原因がありました。
この緊張によって、頸椎の重心が斜め前の位置から動かし辛くなり、自由な重心移動が出来なくなってしまいます。
重心の移動が固定され、頭を楽に支えることが出来なくなると、常に力んだ力を首にかけ続ける事になります。
この力みが周辺へ波及して、脇の下や胸の筋肉にも二次的な緊張を生み、シビレの症状を作ったのでしょう。

斜角筋は、頸椎と肋骨を結んでいます。
緩める場合は、頸椎と肋骨を使います。
施術は仰向けで行い、緊張している頸椎に手を当て、緊張で傾いている位置を探します。
傾いている位置で支え直して、緊張が緩むのを待ちます。
緊張がゆるみ始めると、固定されていた重心軸は動き始め、斜角筋は緩んで来ます。
同様に肋骨にもアプローチして、斜角筋を緩めて行きます。
この施術を3回行う必要がありました。
斜角筋が十分緩むと、腕への血流が良くなり、腕のシビレは出なくなりました。

座り仕事などで同じ姿勢が長かったり、同じ作業を繰り返し続けていると、肩も凝りますが、首もかなり凝ってきます。
疲労がひどくなり、バランスをとり支える能力が低下すると、首を支えることが出来なくなります。
支えられないものを倒れないようにするために、重さで釣り合いを取ります。
すると、テコの力が体に働き、固定された支点が発生。
支点には、常に過剰な負荷が掛かり続け、無理が生じます。
この間違った体の使い方に気付けず、感覚が順応してしまうと、無理のかかった筋肉の緊張が解けなくなります。
それが、シビレなどの症状の原因となります。
これを防ぐ方法は、感覚が順応する前に気づくことです。
そして、姿勢を変えるなり、休憩するなりの回避策を取ることです。
感覚が順応してしまうと、ある程度悪化するまで気が付けなくなります。

(2018年7月加筆修正)2021.09更新