小学生くらいの子供の場合、例え体のどこかに大人と同じような歪みが出来たとしても、回復力と成長力の速さであっという間に自力で治ってしまいます。
変化し順応する能力の高さ故ですね。
しかし、大きすぎる衝撃、例えば自転車や車の事故などの激しい転落・転倒などを受けると、その影響が体に残り、上手く回復しなくなる事もあります。
今回の話は、もう一年以上首の痛みが治らない小学生の子供の話しです。
いつから痛むようになったのか聞くと、学校で鉄棒の練習をしていた時だと言います。
前回り、逆上がりなどの練習中に、ふいに首に痛みが出たようです。
鉄棒から激しく転落したというわけではありません。
それ以来、頻繁に首の痛みが気になるような動作をするそうです。
首は、とても重い頭を支えている関係で、水平方向に振られると、首に負荷が大きく掛かります。
さて首の構成ですが、
首は7つの頸椎で構成されています。
上から頚椎1番~7番と呼びます。
これら7つの頸椎が連携して、複雑な方向に首を自由に動かすことが出来ています。
しかし、首の動きに必要な骨は7つの頸椎だけではありません。
頸椎より下の胸椎の動きも重要な要素です。
大体ですが、頸椎7個と胸椎の3個ぐらいまで合わせたものが首として機能していると思って良いです。
そう考えると、首を長く感じると思います。
年配の方に多いのですが、胸椎周辺、左右につながっている肋骨を含めて、だんだん硬くなってしまっています。
柔らかいはずの肋骨の動きが固くなって、上半身が樽のようで、柔軟に変形できない体になっています。
こうなると、胸椎は首の動作に協力出来なくなってしまいます。
頸椎7個だけで首の動きをやろうとすると、首が短すぎて、すくんだような、詰まったような動きになってしまいます。
これでは首の付け根や肩のラインに、慢性的な緊張が出てしまいます。
筋肉にも関節にも良く無い首の使い方です。
さて、彼女への施術ですが、
首の動作テストでは痛みはなく、動き難さ等の問題は感じ無いようです。
しかし、首を反らす動きを見ていると、少しだけ違和感を感じます。
それで、動作テストでやった範囲よりもかなり大きく首を反らしてもらった所、可動域の限界近くで首に痛みが出ます。
頸椎のレベルに問題があるなら、もっと手前の角度で痛みが出るはずです。
彼女の場合は、頸椎よりも下の、胸椎の周辺に問題がありそうです。
念のため頸椎周辺を検査して、一通り問題がなさそうなことは確認しました。
さて、胸椎を調べる事にします。
仰向けで胸椎1~3番に手を当てて、緊張度合いや可動性、バランスの偏りを検査します。
案の定、胸椎に緊張が出ています。
首の痛みが鉄棒の練習をきっかけに起きていることからも、鉄棒で大きく回転する際に、首が激しく振られ、胸椎周辺に緊張が起こったのかも知れません。
緊張し、バランスが傾いている胸椎部分に両掌でコンタクト。
バランスが傾いているピークで支え直すと、しばらくして緩みはじめました。
十分緩んだところで、首の動作を確認してもらうと、もう大きく反らせても首は痛まなくなっていました。
子供の場合、治る能力が高いので、通常1~2回ですぐ解決します。
彼女は一回の施術で解決しました。
本当に子どもの能力の高さには感心します。
(2018年7月加筆修正)2021.09更新