広島市安佐南区長束 整体の安穏亭

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固まって動かない足首と首

関節を長く動かしていないと、関節に癒着が起こり、固まったように動かなくなります。
これは、傷を治すための働きでもありますが、接着剤のように関節が引っ付いたままになると問題です。
今回の話は、足首と首が固まってしまったかたの話です。

70代男性です。
右の足首が曲がりません。
足首が曲がらないため、歩いていると爪先が引っかかり、転びそうになるそうです。
実はこのかた、足首だけではなく、首も固まっていて、ほとんど動きません。
首は前後左右どの方向にもほとんど動きません。
仰向けに寝ると頭が浮いてしまうので、眠るときは必ず高い枕が必要だとおっしゃいます。
首の症状は、足首よりもずっと以前、子供のころの事故からです。

足首がひどく固まってきたのは、10年ぐらい前から。
40歳の頃に、踵の部分に痛みが出たことがあり、その時は、病院で骨を溶かす注射をして治したそうです。
しかしそれ以降、だんだん足首が固くなって来たそうで、10年ほど前からは歩くのに支障が出るぐらい動かなくなってしまいました。
骨を溶かす注射?
なんの薬なのでしょう。ちょっとわかりませんでした。

首が固まって動かない

首は、子供の頃の転落事故での大ケガが原因だそうです。
当時、後遺症が残ると言われたほどの大きな事故だったそうですが、奇跡的に日常生活がおくれる程に回復したそうです。
ただ、首の状態は、その事故以来、調子が良いとは言えなかったようです。
首がさらにひどく固まってきたのは、15年前ぐらいから。
整形外科に通いながら、ご自身でも首のストレッチやトレーニングをして来ましたが、首の動きはあまり改善しませんでした。

このかたの固まった首と足首。
不思議なことに、どちらとも痛みはありません。
足首も首もがっちり固まっており、よくこれで痛みが出ないものだと、不思議です。
昔は痛むこともあったようですが、今では無くなってしまったようで。

まずは、首と足首の関節の動きと緊張を検査します。
足首の関節の中には、距骨と言う骨が入っています。
距骨の上が脛、下が足部と関節を成しています。
この上下の関節面がほとんど動きません。
首も複数の頸椎の関節が、やはりほとんど動きません。
どちらも、硬さの種類が癒着メインの感じです。
筋肉から出る緊張と違い、癒着の場合は、施術で緩めてもまた再癒着が起きやすいので、施術をハイペースで行うことにしました。

癒着の場合の施術は、緊張の方向が一方向ではなく、蜘蛛の巣のように色々な方向へ伸びているので、時間をかけてなるべく多くの方向を網羅するよう緩めて行きます。
施術の方法は、筋肉の緊張の場合と同じなのですが、すべてにおいて時間と手間がかかります。
定期的に施術を行い、最初は直角からまったく動かなかった足首が、だんだんと動くようになってきました。
ある程度可動域広がると、歩行時つま先が引っかかることが少なくなってきました。
長年、つま先を上げる力を出していなかったので、上げる筋力が弱くなっていましたが、足首の可動域が広がるにあわせて、自然と筋力もついて来ました。
おおよそ3か月ほどでしょうか。
ほとんど動かなかった足首は、当初とは比べ物にならないぐらいよく曲がるようになりました。
左足首とほぼ同じぐらい曲がります。
歩行時も、つま先が引っかからなくなり、スリッパを履いても脱げにくくなり、さらに駆け足も出来るまでに改善しました。
10年前に戻った感じがすると喜んでくれたので、私もうれしくなりました。
癒着が進み、年数も経っていましたから、正直ここまで改善するとは思ってませんでしたので、私も驚きです。
ウォーキングやストレッチを熱心にやって来られたかたなので、回復力が高く保たれていたのかも知れません。

さて、問題は首のほうです。
首はなかなか上手く行きません。
頚椎に過度の癒着がおきているのでしょう。
もし、関節面が完全に融合していたら、もう動くことはありません。
その見極めがとても難しく、慎重に施術しなければなりませんでした。
少しずつ癒着をゆるめて、次第に水を飲む動作や仰向けに寝るのが楽になってきたとおっしゃっいますが、まだまだ正常範囲からは程遠い状態です。
結局、首に関しては十分な結果が出ませんでした。
当初よりやや可動域は広がりましたが、とても正常範囲とは言えません。
ここらが限界と判断して、施術は終了にしました。
癒着が進んでしまっていたのかもしれません。

(2018年8月加筆修正)2021.09更新

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