痛みやシビレ、こわばりなど各症状の原因とは何なのか。これを筋肉の緊張から考察し、なるべくシンプルにまとめてみたいと思います。
痛む、痺れる、こわばる、曲がらない、などの症状だ発生している辺りを調べると、筋肉が縮むことが出来ない部分と伸びることが出来ない部分とが見つかります。便宜上前者を「過労部」、後者を「短縮部」と呼びます。
図Aは背骨をあらわしています。図Aのように重なった骨の間を「関節」として機能させるためには、沢山の筋肉が骨の前後左右に付着しなければいけません(図B)。そして、それらの筋群によってコントロールされた骨と骨が関節となって働き、背骨全体を安定させ、滑らかな動きを可能にします。
今、図Bの①の筋肉の制御が狂ったとします。制御の狂いによって筋肉は過緊張を作り出すため、①には筋肉が縮んだままになった「短縮部」が作られます。短縮部が作られると、その関節は図Cの様に右へ傾き、☆部分の関節が閉じた状態になります。短縮部の反対側(左側)には伸びた状態(関節が開いた状態)が作られ、縮めない部分つまり「過労部」が作られます。過労部は常に伸ばされながら力を出さなければならず、過剰に疲労し痛みなどの症状を出すことになります。
小さな一箇所の過労部は次第に耐えられなくなると、周辺の筋肉にも協力を要請し、過労部が次第に大きなエリアへと広がっていきます(図C‐③)。症状が継続し①の短縮部も広がりを見せると、図C‐②のように短縮部が複数の関節をまたいで発生し始めます。これらの状態の重複が難解で複雑な症状を作り出しています。
痛み以外にも、
・可動域の低下
・廃用性萎縮(使わないことで衰える)
・慢性筋肉疲労
・周辺の代謝低下(血液循環低下)
・姿勢のアンバランス
などの状態が現われます。一番の原因は①の短縮部によって作られる力(緊張)なのですが、多くの治療が症状の出やすい過労部に着目しているように思います。過労部への施術でも一時的な症状の緩和には役立ちますが、真の原因を残したままでは完治まで行かないと思います。
短縮部は症状を出していないことも多く、見つけにくい場合も多いのですが、それによって作られている力(緊張)を捉えることが出来れば、その緊張を解除して症状の根本解決につなげることが出来ると思います。
(2018年8月加筆修正)