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整体コラム

療法の共通点から治る原理を考える

各種療法手技療法(整体など)の種類は多く、各々が独自の理論や技術を考案し今も増え続けているのが現状です。それらを比較していると、理論や方法が正反対の場合も多々あります。
ある療法では「押せ」と言い、別の療法では「引け」と言う。力加減も「体重をかけてしっかり強く」もあれば「触れるだけ」と言うのもある。
何にアプローチしているのかについても、「筋肉」「骨(関節)」「血液の流れ」「気の流れ」など様々です。
私はこう思っています。
人の体で人の体に影響(変化)を与えられる方法はそんなに多くは無い。
一見違うように見える理論や方法も、同じ効果が出ているのであれば、それらは共通した原理に基づいているはずだ。
そして、その中でより単純な方法が原理を明確にあらわしているのだと。

刺激の種類)
「押しても引いても治る」のであれば、「押すべきか、引くべきか」ということが問題ではなく、「押したつもり・引いたつもり」でやっている動きの中に、共通する働きかけ(刺激)があるはずです。
共通する刺激が体に働いた結果、体に備わっている仕組みが反応し、回復・治癒へと向かわせたと考えます。
「手」で加えることが出来る刺激は、主に、牽引、圧迫、振動、痛み、温度、運動(関節の角度)などです。
これらの刺激に対し、体はそれぞれに反応するセンサー(受容器)を持っており、皮膚や筋、腱、関節部などに多数存在しています。
例えば、目は光に反応する受容器であり、鼻は匂いに反応する受容器、脳には特定の物質に反応する受容器(レセプター:受容体)です。
刺激はセンサーで受け取られると、神経を介して脊髄から脳へと送られ、その情報を元に脳・脊髄は体に対して的確な制御命令を発信します。
このやり取りを繰り返すことで、人は体内・体外の環境変化に随時順応できる状態(恒常性の維持)を保っています。
 
知覚ー運動ループの異常)
例えばこれら受容器から一部の情報が減少する、あるいは消失するとどうなるでしょう。
一つ参考になりそうな例をあげます。
幻肢または幻肢痛(げんしつう)です。
腕を切断した患者が、無いはずの腕があるように感じたり、痛みを感じたりする症状の事です。
発生頻度は意外と高いようで、四肢切断患者の50~80%に幻肢痛が発生しており、大部分の患者が数年を経ても痛みを伴うとも言われています。
詳細なメカニズムは不明な点が多いのですが、いくつかの事はわかって来ています。
それは「知覚―運動ループの異常」です。
ある実験では、幻肢のない下肢切断者に脊髄クモ膜下麻酔を行うと、下半身の感覚消失と運動麻痺が起きますが、それと同時に「幻肢」および「幻肢痛」が出現したそうです。その治療方法には、ミラーボックスを使ったものがあります。
鏡を使いミラーボックスを作り、切断していない腕の動作を鏡に写し、鏡に写った腕が「幻肢」に重なるようにすると、幻肢痛が軽減することがあります。
これらから解ることは、
脳からは切断肢へ運動命令(例えば姿勢制御)が常に送られていますが、実際には切断肢の運動は起きず、切断肢から脳へ送られるはずの運動、感覚情報も欠損しています。すると脳内での運動予測とのあいだに不一致が起き、それが幻肢・幻肢痛を発生させるのではないかと考えています。
幻肢痛の場合は制御するべき四肢が無いため、その痛みは脳の中で作られてしまいますが、四肢が存在する状態で同じように「知覚ー運動ループの異常」が起きるとどうなるでしょう。
例えば腰のある一部分で脳や脊髄へ送るはずの情報が欠落しているとします。脳や脊髄は腰の筋肉へ命令を出しますが、その返事の一部が正しく返って来ません。すると脳や脊髄は筋肉を正しくコントロールすることが出来ません。
このような場合、体の反応は基本的には過剰方向へ向かい、筋肉に異常緊張が起きるようです。その結果、関節はスムーズに動けず、関節の位置はゆがみ、持続される筋緊張によって疲労の蓄積が起き、圧迫された血管は血流量が減少するでしょう。これらの状態は患部に痛みを起こすのに十分な理由になると思います。
まとめると、
「患部には脳への情報出力の欠損があり、それが制御を狂わし痛みを作る」と考えることが出来るのではないでしょうか。
 
手技療法への利用)
手技療法へ利用する場合、まず異常が起きている患部の正確な位置を知る必要があります。痛みを感じている場所が必ずしも異常個所とは限りません。
痛みというのは感じ方に個人差があり、関連痛・放散痛という別の場所へ広範囲に広がる痛みもあります。
触診や動診、問診、視診によてその場所を見つけ、患部で欠損している情報を補うように刺激を加えます。
関節の可動域のどのエリアに情報が欠損している場所があるのかも調べ、そのエリアによっては姿勢を厳密に設定する必要もあるでしょう。
センサーが受け取る刺激は上に書いたように、牽引、圧迫、振動、痛み、温度、運動(関節の角度)などがあります。
欠損している情報はどれなのか。おそらくどれか一つだけと言う事はなく、いくつかの要素が組み合わさっているのでしょう。
「手」で何かの操作を行う場合も、複数の刺激が必ず同時に発生します。
どの刺激を加えるかを厳密に考える必要はなく、その方法で患部がどう反応するかを感じるほうが重要でしょう。
必要な刺激だけを加えるように手技を洗練させれば、「ちょっと揺らしただけ」「軽くさすっただけ」「軽く触れただけ」といったわずかな刺激で症状を改善・変化させる不思議に見える現象も可能となるでしょう。
(2016年7月更新)