色々な痛みがありますが、今回の話は施術を行っていく中で最も遭遇しやすい「筋肉の緊張」とそこからくる「痛み」のメカニズムを、脳と末端との制御メカニズムを軸に考察してみたいと思います。
体はいわばセンサーの塊ようなものです。
視覚や聴覚をはじめ皮膚や筋肉、関節にも多くの感覚器がたくさん分布しています。
感覚器は身体の内外で起る状況の変化を刺激として受取ることのできる器官のことです。
感覚神経の末端が数多く集って受容器というセンサー部分を構成しています。
視覚器、平衡聴覚器、嗅覚器、味覚器、それと触覚や痛覚などを感じる皮膚感覚や筋肉、腱、関節などに分布する体の内部の刺激を感じとる深部感覚があります。
感覚器からの情報は脳に集められ処理したあと、必要な命令(制御情報)が各部へ送り返されます。
送り返される命令は主に運動神経を伝って筋肉に送られます。
制御命令を受けた筋肉によって何がどうなったかという情報も各感覚器を経由して脳へ戻されます。
この行ったり来たりを延々繰り返すことで、脳は体をコントロールしています。
それではもし体の各部(感覚器)から脳へ送られる情報(感覚)に不足があった場合、筋肉のコントロールにはどんな影響があるのか考えてみたいと思います。
筋肉が出来る事、筋肉の機能は唯一収縮する事だけです。
たったこれだけです。
単純ですがこの機能を上手くコントロールすることで、からだを動かしたり熱を発生させたり様々な役割を担っています。
実は筋肉は動かしていない時でも少し緊張しており、丁度良い適度な緊張を保っています。
そのコントロールももちろん脳からの命令で行っています。
もし筋肉の状態を脳へ伝える情報に不足が生じると、脳は情報不足のまま筋肉に命令を出さないといけません。
脳から命令を出して筋肉が動いても、その筋肉が動いた結果どうなったかと言う情報(フィードバック)が正しく返ってこないため、脳は状況が分からず間違った判断に悩んでしまいます。
こんな時、人の体は基本的にはアクセルを踏む方向に、つまり過剰方向へ働くよう作られているので、筋肉には脳からさらに緊張するよう命令が出され、必要以上の筋緊張を持続し始めます。
この状態が一時的なものならいいですが、継続すると筋肉は疲労し血流は阻害され関節は正常に動けなくなります。
内臓であれば機能低下し様々な症状が現われて来ます。
体を正常に保つための働きが片側通行になってしまうと、過剰な命令が自分の体を壊してしまうのです。
その原因は脳へ向かう情報の不足がかかわっているのかもしれません。
そこで解決策の一例として、脳への情報が不足しているのなら不足している情報を加えてやればいいのではないか?
と考える事も出来ます。
関節や筋肉を操作し末端にある感覚器から脳へ向けて不足している情報をより多く与えてやれば、脳は体への過剰命令を減少させコントロールを正常化させることが出来るのではないでしょうか。
整体などの手技療法で何故緊張がゆるみ体が変化するのか。
それの原理を考える時の一つの材料になると考えています。
2017.10.21(2021.09更正)