首から背中、肩甲骨の間に向かって痛みが広がる症状は、多く見られます。
寝違えの典型的な痛みでもあります。
今回の話は、寝違えたと言うような、ハッキリした理由がないのですが、なぜか急に痛みが出て来た症状です。
60代女性。
3日前から、左の首筋から肩甲骨の間に痛みが出ています。
寝違えですか?
と聞いてみましたが、どうやらそういった原因に心当たりは無いようです。
寝違えたのかもしれないけれど、その覚えは無いとおっしゃっいます。
まずは、どのような動きで痛みが増すか、動作テストをする事にします。
首の動作テストでは、首を前後左右に動かしてもらい、痛む動きを教えてもらいます。
検査の結果、痛む動きは、首を左へねじる動きと、首を左へ倒す動きでの2方向です。
痛む場所は、どちらの動きでも、左の首の付け根(C7)から肩甲骨内側(T4まで)にかけてです。
次に、どの場所に緊張があるかを探します。
正座で背中側から見ると、脊柱が全体的に左凸のカーブを描いています。
緊張の左右差で歪みが出ています。
今度は、上半身を右へ倒した時の、脊柱の動きを触診します。
すると、問題なく滑らかにカーブします。
逆の左へ倒してもらうと、どうも曲げにくいようで、滑らかなカーブが背骨に出ません。
頚椎7番が左へ飛び出して、胸椎4番~6番も左へ凸のカーブを描き、上手く反対側へ曲がれていません。
これで治す場所が、頚椎と胸椎にあるのがわかったので、緊張を緩める施術を開始することにします。
左側臥位で寝てもらいます。
なるべく力が入らず、楽に寝れるよう、膝のあいだにクッションなど入れて、安定させます。
触診して、最も抵抗の強かった胸椎7番の棘突起にコンタクトし、各方向へ軽く押します。
押した際に、一番反発してくる方向へ向けて圧を維持し、それ以上抵抗が出ない軌道へ向きを修正していきます。
何度か繰り返すと、最初の抵抗感が小さくなり、なんとなくポヨポヨした感じになりました。
胸椎7番の上下の胸椎にも、少し抵抗感があったので、同じように緩めます。
次に、仰向けで頭を下から支えて、頚椎~胸椎を触診しながら、首を左右に側屈させます。
すると、頚椎7番よりも下の胸椎1~3番にスムーズさがないことがわかりました。
これも、胸椎7番と同様の方法で緩めます。
少し関節が安定するまで、時間を置いたほうがいいので、その間に足先から全身を揺らして全体の筋肉疲労を緩めます。
起き上がって痛みをチェックしてもらうと、痛みは無くなりました。
背骨の動きを検査すると、とてもスムーズに動くようになっています。
痛みがまだあるなら、施術を追加するか、他の場所も検査するつもりでしたが、痛みが無くなったので、これで終わりにしました。
今回の原因が何だったのかは、結局分かりません。
知らないうちに寝違えを起こしていたのかもしれないし、別の何か原因があったのかも知れません。
このあたりの事を突き止めていきたいのですが、今の所は問診で聞いた内容から推測するしか方法がありません。
2017年7月掲載(2021.09更正)