整体の施術を行っていくうえでポイントとなる事はいくつかありますが、一番重要なのは「よく見る事」「よく観察する事」だと思っています。
見る・観察するとは、ただ漠然と目で見るだけではなくて、話を聞き、手で触れ、心身の様相をありなままに詳しく見極め、そこに起きている種々の事象を探る・知ることです。
その情報をもとにして、原因が何か?どこを施術するべきか?
などを推理し、施術をすすめます。
もちろん「見る」だけではダメで、施術の技術(体に変化を与える技術)を習得し上達することも大事です。
技術が身に付いていないと、きちんと「見る」事が出来てもその先に進めないですから。
でも、正しく見る・観察する事を心掛けていれば、いずれ自然と施術技術も身に付いてくるように思います。
逆に正しく「見る」「観察する」が出来ていないと、施術技術も上達せず場合によっては技術が狂ってくることさえあります。
「見る」「観る」事の重要性が伝わったでしょうか。
「見る」「観る」うえで注意すべき一つの点は、患者は嘘をつくと言うこと。
もちろん嘘をつく気はないと思うのですが、言いたくないことや関係ないと思い込んでいる事、忘れてしまっている事は言いません、言えませんよね。
それに、例えば痛みの感覚を人に説明するのは結構難しく、人によって痛みの感覚が違います。
ピリピリ、ジクジク、ジーン、なんとなく擬音で伝えるしかないですしねえ。
それに痛む場所さえ正確に指し示す事ができない場合も多くあります。
痛みが別の場所へ放散する場合があったり、深部の痛みの場合場所が分かりずらくなったり。
なので聞いたことだけを鵜呑みにするのではなく、小さな情報をたくさん集めてそれを繋ぎ、症状の原因を推察する材料にしたり、動作テストではなるべく客観的な感覚で見てもらうために、左右対象の動きでその差を確認してもらったり、施術前後の変化をまめにチェックして原因に近いのか関係ないのかを評価する事が大事です。
治りますかねえ?とか、どれくらいで治りますか?とか聞かれることもありますが、正直施術をやってみないと、進めてみないと分かりませんと答えます。
もしかしたら治療家の中には一目ですべて見通せると言う人もいるのかも知れませんが、私にはできませんので。
推理ドラマのように一つ一つ関係性を紐解いて検証し、原因までたどり着くしかやり方がわかりません。
聞き取りした事と、目の前の体の状態と、施術による変化をすべて総合的に分析し、その結果を元にさらに推理を繰り返して施術は進められます。
観察し施し観察し施す。極意はしつこく延々これを繰り返す忍耐だと思っています。
いつか一目見てハイここですねっ!て言う神業みたいなことが出来るようになると楽ちんなのですが、どうもそんな超能力はなさそうです。
長年施術をやればやるほど、結局コツコツやっていくしか方法は無い、いやそれが結局一番の近道なのだなあ感じております。
(2015年掲載)2021.09更正