今回は、体の傾きによって起こる肩こりの話です。
30代男性。
症状は、肩こりと腰痛。
肩こりが特に気になるようで、左右共に凝りやすいようですが、特に左肩の方が強く凝るそうです。
腰痛は常にあるわけでは無く、寒さや疲労が重なった時に痛みが出るそうです。
仕事は車の運転とパソコン作業。
どちらも長時間行う事が多く、そのせいで肩こりと腰痛が出るのだろうとおっしゃいます。
さて、肩周りから見ていく事にします。
椅子に座ってもらい、肩の高さを比べると、左右差がかなり有ります。
右肩が低く、左肩が高くなっています。
4~5センチほど肩甲骨の高さに差が出ているのが見て取れます。
次に動作テストを行いました。
立位でのテストでは、どこにも痛みや違和感などは出ませんでした。
坐位でのテストでは、上半身の左回旋の可動域が狭くなっています。
全体の動きの印象としては、右半身が縮み気味、左半身が伸び気味で、上半身が下半身に対して少し右へ捻じれているように見えます。
おそらく左半身のどこかに、緊張がロックされた箇所があり、そこに重心が固定されやすくなっているのでしょう。
重心が左半身側に固定されると、常に左半身で右半身を持ち上げる姿勢になってしまいます。
その為、左半身に右半身の荷重が必要以上に掛かるため、左半身側が凝りやすく傷みやすくなります。
この姿勢の原因になっている、緊張のロックを探します。
こういった姿勢の場合、腰に原因がある場合も多いので、最初に腰周辺の動作テスト、触診による緊張の有無を調べましたが、問題は見つかりませんでした。
そこで、腰椎よりも上の胸椎を調べてみました。
胸椎は12個の骨があります。
下から順番に左右の緊張を調べていくと、肩甲骨の間の辺りにいくつか胸椎を左へ引っ張る力(緊張)が出ていました。
背中の真ん中あたりの緊張です。
仰向けでは手が届かないので、施術はうつ伏せで行いました。
緊張によって左へ引っ張られている胸椎を、肋骨ごと左右から両手の平で包み込み、まとめて支えます。
胸椎の左側へバランスが傾いているので、傾いた部分で支え直しを行い、全体のバランスを取り直します。
その状態でしばらく待つと、次第に緊張が緩み始めました。
ある程度緩んだところで、もう一度椅子に座ってもらい肩の傾きを比べました。
胸椎を緩めると、左右の肩の高さは揃いました。
高さがそろったので、動きもチェックしてみました。
坐位での左回旋の可動域も、胸椎を緩めると正常な角度へ広がっていました。
立位、座位、共に大きな傾きは消えましたので、一週間経過を観察して欲しいとお願いして終了にしたのですが、その後のご来院がありません。
経過が気になっていたのですが、しばらくして奥様を連れて来られて、その時に「あの時の施術以、来調子良いですよ」とおっしゃるので、どうやら施術箇所は間違っていなかったようで、安心できました。
(2018年7月加筆修正)2022.05更新