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整体よもやま話

感覚で感覚を変える

人は体の内側や外側から様々な刺激を受け取り感じています。痛み、温度、光、味、圧力など実感しやすいのではないでしょうか。それ以外にも血圧の状態や化学物質の受容体など兎に角センサーだらけで、そのセンサーが様々な情報を受け取って体に伝達しています。
こうした刺激(情報)は、人体の内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする恒常性(ホメオスタシス)の維持に大きな役割を持っています。恒常性の維持により、人は健康を保ち病気を自然治癒させるなど「命を正常に保つ」ことが可能になっています。

これらすべての刺激(情報)を手技療法で利用できるわけではありません。手技療法で利用できる刺激(情報)は主に体性感覚と言われるものです。
体性感覚とは、触覚(触れた感じ)、温覚(暖かさ)、痛覚(痛さ)、圧覚(押さえられた感じ)、運動覚(関節の角度)などです。それ以外にも固有感覚(運動感覚)と言うのもあり、これはあまり自覚できないのですが筋肉や腱、関節の緊張の変化を感じていて、人が無意識に大きく依存している感覚です。自分の体の各部分が「在る」と感じる感覚です。
これらの感覚(刺激)は、体中の感覚受容器でキャッチされ、その後基本的には中枢(脳)へ送られます。その情報は脳で統合・分析・精査され、様々な感覚として認識できるようになります。
脳は体中から集めたこれら莫大な量の情報を元に、体の各部へ命令を出します。この情報と命令のループが体の各部と脳の間で延々に行われ、これによって体の制御が保たれています。

さて、いつまでも痛みが消えない・病気が治らないと言うのはどういう事なのでしょうか?
ここではその一つの可能性として、
「情報が不足している、または間違った情報が送られている」ことで恒常性の維持が上手く保てなくなっているのではないか?と考えて話を進めます。
ケガをすれば治癒反応が起きます。この治癒反応は痛みや腫れなどの体の変化を起こしますが、キズが治ってくるとともにこれら変化(痛みや腫れ)も小さくなり、通常の状態に戻ります。しかしこの時、体を変化させるために必要な刺激(情報、感覚)が上手く入力されていなかったとしたら、あるいは逆に不要な刺激(情報、感覚)が入力され続けていたらどうなるでしょう。もしかするとそれらが痛みや体の不調など悪い状態を維持しているのかもしれません。
それなら必要な刺激(情報、感覚)を与えてやるか、または不必要な刺激(情報、感覚)を取り除いてやることで、恒常性維持(ホメオスタシス維持)の機能を回復、体にもう一度治るための変化を起こさせる事が出来るのではないでしょうか。

ヒトの体に元々備わっている「感覚を受け取りそれを体の制御に利用するという機能」をそのまま利用して体を変化させる。「感覚」で体を変化させると言うことですが、手技療法ではもう一つ大事になってくる「感覚」が術者の方の感覚です。
施術者は患者の体のどこに異常(情報の不足や過多)があるのかを施術者の感覚で見つけなければいけません。施術者は異常部の感覚を手先だけではなく自分の体全体で感じるようにすることで、僅かな感覚も増幅され小さな変化や違いに敏感になることが出来ます。そこで感じる異常感覚が患部から消失するように患部に刺激を加えます。
もし可能であるのなら、患者側の感覚が術者に分かれば一番いいのですが、当然これは無理な話です。術者が感じるのは術者本人の感覚のみです。患部の異常な状態を術者の手~体を通して「術者の感覚」へ変換し感じ判断していると言うことです。なので、術者には正確な感覚を感じる技術が必要です。施術者が正確な感覚を持って操作を行い、正確な刺激(情報、感覚)を加えることが出来たとき、必要な刺激の入力と不要な刺激の消去が行われ、患部が変化を始めます。
感覚で感覚を変える」の感覚とは、施術者側の「感覚」と患者側の「感覚」と言う意味で、この二つの感覚が上手くリンクし変換されるかどうかが大事なポイントですね。

(2018年8月加筆修正)2021.01更新