以前の記事「重心の固定と移動で感覚を訓練」では体の前後方向への重心移動の1つを題材にして話をしました。
今回は体の横方向への重心移動を題材にして話を進めて行こうと思います。
今回も腕を上げていく動きで重心移動の訓練をしてみましょう。
それぞれの図をご覧ください。
図Aは両腕を垂らして直立状態。重心▲は中央に有るはずです。
その状態から左腕を横に広げていったのが図Bです。
このときおそらくですが、半数以上の人が重心が動かないか、あるいは右側へ少し移動させた感覚になるのではないでしょうか?
もちろんこれがダメと言うわけではありません。
そう言う体の使い方もあります。
只ここでは、重心が左側へ自然に移動する図Cの感覚を練習します。
では練習してみましょう。
動画も参考にご覧ください。
どうでしょうか?上手くいきましたか?
上手くいった人は反対の腕でも同じようにやってみて、重心が左右へ自然に移動する感覚を十分に感じてください。
この「意識しなくても自然に移動する感覚」は、体を自然の摂理に則って使うために必要不可欠な感覚です。
上手くいかなかった人は、ちょっと意識が強すぎるのかもしれません。
「こうなるはず!」「こうしよう!」などと頭で考えすぎていると、体が余計な緊張をして自然の動きに逆らってしまいます。
そのせいで自然の動きを感じることが出来なくなります。
ポイントは、何も余計なことをしない事。
ただ楽に立って片腕を横へ広げるだけ。
あとは体が自然にやってくれます。
この重心(バランスを取って支える)感覚を感じるのが難しいのは、「感覚が無いのを感じる」という一見矛盾したようなことをやらないといけないからです。
「有るのを感じる」のではなく「無いのを感じる」と言うことです。
一般的に、体の感覚として意識しやすいのは、筋肉の緊張やそこにかかってくる重さなどです。
重心感覚もこれと同じように考えてしまうと、筋肉の緊張やそこへの荷重と言った手応えのある感覚を追いかけてしまいます。
正しく重心を感じるには、この手応えのある感覚が無いところに答えがあります。
分かりやすく体感する方法は、手のひらで長い棒の先を握って立てて、棒が倒れないようにバランスを取ってみてください。
棒を握っていれば、割と簡単にバランスを取れると思います。
この時わざと棒を斜めに倒し気味にすると、握ってる力が急に強く必要になりますよね。
でも、棒を垂直に戻せば、握ってる力はほぼ必要なくなるはずです。
完璧にバランスを取れば、握る力は全く必要なくなりますよね。
ほんのわずかでも棒が傾けば、握る力が必要です。
握る力が要らなくなるのは、棒のバランスを取ったその一点のみ。
それ以外、つまり少しでも傾いたらもうバランスは取れていません。
重心感覚はこの一点を感じる感覚を自分の体の中に感じれるようにする事です。
体の中ではこの一点が体の形や動きにリンクして前後左右に常に移動します。
2019/10/16作成(2021.09更正)