膝の痛みにも色々ありますが、このかたの場合は、正座は大丈夫。
膝の屈伸運動や歩くのにも支障は無い。
でも、しばらく膝を動かさない状態から、急に伸ばしたり曲げたりすると、膝の関節の周りに痛みが出ます。
膝をひねったとか、無理をしたとか、何も思い当たる理由は無いそうです。
膝の動作テストをしてみましたが、確かに痛みが出る動きは無いようです。
どういう事なのでしょうか?
どんな膝の痛みでも、まず見るのは、膝の裏側の状態です。
膝の裏に緊張が出ると、膝の関節が詰まり、動きに滑らかさが出なくなります。
そのうち関節が負荷を受けて、痛みを出し始めます。
この場合、だいたい正座で痛みが出るパターンが多いので、このかたには当てはまらないかも?
膝裏を触診したところ、正座では痛みが出ないこのかたの場合、案の定膝裏に緊張は出ていません。
そうすると、どこに異常が有るのでしょうか?
膝の筋肉には、膝関節をまたいで足首側へ行くものと、太もも側へ行くものが有ります。
結構大きな面積の筋肉群です。
それらのどこかに異常が起きているのでしょう。
ふくらはぎ側から順番に、股関節側へ向けて、検査していく事にします。
検査は仰向けで、片脚を持ち上げて、検査する部分を支えるように持ちます。
きちんと支えると、緊張がある方へ傾き始めるので、この変化を緊張の有無検査に利用します。
すると、太もも外側と、膝の外側に不自然な緊張が見つかりました。
そこを押さえると、少し痛みがあります。
普段は、その部分に痛みなど全く感じなかったようです。
そこで、この2カ所の緊張を緩めてみる事にします。
一カ所は膝関節を。もう一カ所は股関節を使って緩めます。
どちらも、検査の時と同じように緩める場所を支え、傾きが消える位置へ支えを移動します。
すると、緊張していた筋肉は、ロックが外れたようにゆるみ始めます。
緊張の引っ掛かりが取れたおかげで、広範囲に周囲の筋もゆるんで来ました。
後は、実際の生活で、痛みがどうなのかを試してもらいましたが、もう痛みは出なくなったそうです。
普通のコリによる緊張であれば、伸びにくさはあっても、伸びないわけではないのですが、ここで言う緊張は、全然伸び縮みしない、引っかかったような状態(緊張にロックがかかった状態)の事を言います。
これが症状を出し始めると、その筋肉全体に緊張が広がり、次第に周辺の血液循環低下を招きます。
動かしていれば、血液循環は促されるので、痛みは出なかったのでしょう。
しかし、じっとしていると、血液循環は悪くなってしまいます。
この影響が、動きはじめだけ出る膝の痛みに繋がっていたのでしょう。
小さな緊張なのですが、条件がそろうと、変な痛みや症状が出てきます。
何も悪さしないで隠れている緊張もありますが、ひそかに体に制限(負荷)をかけているのは、間違いありません。
何か条件がそろうと、顔を出すかも知れませんので、あまり無理をかけ過ぎないよう気を付けてください。
2018/12/7作成(2021.09更新)